【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(59) “プロの消費者”や“涼しげな評論家”には幸せの鳥はやって来ない

先日、アメリカ大統領選の民主党候補を目指す“民主社会主義者”バーニー・サンダースの演説中に、1羽の小鳥が舞い降りました。まるで映画のような光景に、支持者たちは「無垢な小鳥もバーニーを祝福している」と天(神)を仰いで大喜びでした。これを受けてツイッター等では、サンダースと民主党の指名を争うヒラリー・クリントンが、籠に入れられた小島と共に演説をするコラージュ画像が出回りました。サンダース支持者が作成したと思われるこの画像には、“既得権に雁字搦めのヒラリー”という皮肉が込められているようです。話はアメリカ大統領選から離れ、稍哲学的な領域に入りますが、この“鳥カゴ画像”を見て直感的に思ったことがあります。資本主義が上手く回っていた時代、先進国の多くの人々は籠の中の鳥のように、“国”や“制度”に包まれて幸せに生きていました。皆と同じようにやっていれば、いつかきっと報われる――。個人の夢や自尊心を、多かれ少なかれ、社会の状況が後押ししていました。

そういう“成功体験”を知る人たちは今、現状がどんなに絶望的であろうと、風が吹くのをずっと待っている。厳しい言い方をすれば、無意識の内に「籠の中の鳥であることを選んだ」とも言えます。しかし、現実を見れば、世界は今、“籠自体の安全性”を疑うべき時代です。グローバル市場は原理的に格差を拡大させ続け、経済環境が急変している。持つ者から持たざる者へ富を再分配するメカニズムは上手く働かず、それは今後も恐らく変わらない。世界中で不平等が益々固定化されていくでしょう。そう考えると、資本主義社会という籠(構造)の中で“待っている”だけの個人の許には、もう幸せの島は舞い降りてこない。仮にサンダースが大統領になろうとも、安倍政権をやっつけようとも、国や社会に依存できる時代は来ない。それで全てが解決するというのは、ポピュリズムや陰謀論に過ぎません。日本を見ても、今の若い世代は30年前の若者に比べると、実質的な収入や社会保障等の面で弱い立場にいます。しかし、その失ったものを“皆で取り返す”という闘いに身を投じても、残念ながら恐らく徒労に終わるでしょう。




一方、鳥籠から飛び出す――言い換えれば“変わろうとする”為のツールは、以前より圧倒的に増えた。IT等の技術革新で新たなチャレンジが容易になり、世界中と繋がることもできる。安価な航空券を握り締め、海外に旅に出ようと思えば気軽に行ける。ただ、そういったチャンスは、イノベーティブな精神構造を持つ人だけが掴める。そうでない人は、只管受け身で“半径の小さな生き方”へと陥るリスクと常に隣り合わせです。昭和の時代によしとされた“スマートに流行に乗るプロの消費者”“世界を涼しげに傍観する評論家”という美学はもう破綻した。そうやって日々を過ごせば、貴方は無為に年を取り、将来の可能性が狭まっていく。それより、フルコンタクトで自分を磨くことが結局は“急がば回れ”になる…。作成者の意図とは全く違う結論ですが、これが“鳥籠画像”を見た僕の直感です。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)等に出演中。4月4日から『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)にニュースコンシェルジュとして出演!


キャプチャ  2016年4月25日号掲載




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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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