【ソニー・熱狂なき復活】(09) 管理職が半減…降格続出! 人事改革の実態

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リストラの総仕上げか、それとも再成長への礎か――。『ソニー』は昨年4月、“ジョブグレード制”と呼ぶ新しい人事制度を導入した。最大の特徴は、年功要素を完全に撤廃したこと。現在果たしている“役割”に基づいて格付けし、給与を決める仕組みに変えた。概略は右図の通りだ。2000年代に導入された旧制度では、学部卒の新入社員の場合、CG(コントリビューショングレード)3からスタート。基本的には年齢に応じて昇級する。40代前後になって管理職に昇格すると、CGからVB(バリューバンド)と呼ばれる等級に変わり、年齢ではなく評価に応じて昇級する。但し、一旦VBになるとCGに戻ることはなかった。これによって何が起こったか。日本企業のご多分に漏れず、ソニーもバブル期の大量採用とバブル崩壊後の採用抑制によって、人口ピラミッドが逆三角形になりつつあった。そうした中で、VB6~7の等級に蔓延る“名ばかり管理職”が増加。社員に占める管理職比率は4割に上っていた。

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これを解消する為に導入したのが新制度だ。新たにインディビジュアルコントリビューター等級群(I)とマネジメント等級群(M)を設定。新入社員は概ねI3からスタートする。但し、従来のように年齢に応じて昇級することはない。“担当者”や“リーダー”等、役割に合わせて等級が変わり、給与も変動する仕組みになった。I6から上が管理職扱いだ。I6~I9は技術を追求したいエンジニア等、専門職を希望する人の為のポジションで、M6以上は統括課長や統括部長等の所謂“ライン管理職”。IとMは行き来することもあり、数字が同じなら給与も同じだ。旧制度からの大きな変化は、一旦管理職になっても役割が変われば、再び一般社員と同じ等級に下がる点だ。つまり、統括課長がリーダーの役割になった場合、M6からI5に変わり給与が下がる。旧制度から新制度への移行に伴い、それまでVB6~7に属する名ばかり管理職だった社員がI5以下になった。管理職比率は2割に半減した。彼らの給与は数年に亘って段階的に減っていく。「事業を巡る環境が大きく変化しており、右肩上がり前提の制度では機能しなくなっていた。リーマンショック以降に累計で約1兆円の赤字を計上しており、このままでは生き残れないという危機感もあった」。制度導入の経緯について、ソニーの人事担当者はそう話す。同社の過去10年は、業績不振によるリストラの歴史と言っても過言ではない。前期末の連結従業員数は13.1万人と、直近のピークである2008年3月末から3割近く減った。年間平均給与は減少傾向にあるとは言え、大手電機メーカーの中では『日立製作所』に次ぐ高水準である(左表)。高止まりするコスト構造を変える為には、人事制度にもメスを入れざるを得なかった。因みに、新制度では会社が社員を育成する目的で新しいポジションに異動させた場合でも、役割の変更によって給与が下がる可能性が出てくる。そうした場合には、一定期間は給与を維持する等、個別に対応する。




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新制度に対する社員の意見は賛否両論ある。特に、世代によって感じ方に差があるようだ。管理職から一般社員扱いに等級が下がる人は、待遇が悪くなる為、当然ながら不満を持つ。一方で、「若い人からは『この程度しか変えられないんですか?』『本当にやり切れるんですか?』という声も多く出た」(人事担当者)。仕事の内容や役割に見合わない高い給与を受け取る名ばかり管理職への不満が膨らんでいた。実は、新制度導入のもう1つの狙いは人材育成だ。年功要素が完全に撤廃された為、若手にとっては大抜擢のチャンスもある。既に20代の課長が数人誕生しているという。年功要素を撤廃したのはソニーだけではない。『パナソニック』は昨年4月、仕事や役割の大きさをベースに処遇を決める“仕事・役割等級制度”を導入した。従来は個人の“職務遂行能力”によって社員→主事→参事→理事→上席理事(参事以上が管理職)という“特称”を決めていたが、実態は年功制に近かった。「2012~2013年3月期に巨額赤字(2期分の最終赤字が約1.5兆円)を計上した後、新しい投資や事業を始めようとした時に、年功的な処遇が課題となった。従来の制度では結果として、優秀な人たちが一気に昇級できず、逆に一度上がった人たちは落ちない。やった仕事に応じて評価する、納得され易い制度にした」(人事労政部制度企画課の平砂崇課長)。「経営の基礎は人である」と言ったのは、パナソニックの創業者である松下幸之助だ。新しい制度を導入しても人件費の削減・抑制が優先され、社員のモチベーションや生産性の向上に繋がらない運用がなされると全く意味が無い。パナソニックも数万人規模の社員を抱えているだけに、全て上手く機能するとも限らない。トライ&エラーの繰り返しだ。


キャプチャ  2016年1月30日号掲載




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