【政治の現場・野党融合】(05) 共産秋波、戸惑う連合

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民進党と日本共産党の接近は、民進党の支持団体『連合』を混乱させている。春の肥後路を走る蒸気機関車を目当てに、観光客が集まる熊本県人吉市。同市内のJR人吉駅近くで今月1日、参院選熊本選挙区から出馬する無所属新人・阿部広美氏の支援集会が開かれた。連合熊本の顧問弁護士である阿部氏を支援する為、日本共産党は昨年12月、候補予定者を取り下げた。阿部氏は今回の参院選で、民進・共産等が推薦する全国初の“野党統一候補”だ。集会には民進党県連・日本共産党県委員会の幹部も来ていたが、司会の連合熊本幹部は聴衆に「政党の旗やプラカードは掲げません。政党の挨拶は控えます」と説明した。「民進党を登壇させれば、日本共産党も登壇させなければならない。しかし、日本共産党との連携はアピールしたくない」という連合の都合だった。結局、両党の県幹部は聴衆に紛れ、発言する機会は無かった。連合は1989年、旧社会党系労組の『総評』と、旧民社党系の『同盟』の流れを汲む民間労組が統一して誕生した。政治活動では“非自民・非共産”を掲げた。連合に反発した日本共産党と関係の深い組合等は、『全国労働組合総連合(全労連)』を結成。規模の大きい連合は労組の世界で“主流派”となり、日本共産党や全労連を敵視した。長く敵対関係にあった日本共産党が連合に秋波を送るきっかけとなったのは、昨年9月、志位委員長が安全保障関連法の廃止を主眼とする『国民連合政府』構想を発表し、民主党(当時)の岡田代表に共闘を呼びかけたことだ。

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志位・岡田会談後、日本共産党の各都道府県委員会は連合の地方組織に対して、「参院選に向けて懇談したい」等と連携を働きかけた。連合本部には、地方組織から「日本共産党にどう対処すればいいのか」と戸惑いの声が相次いで寄せられた。連合は昨年10月、「日本共産党のアプローチに門戸を開く必要はない」との通知を地方組織に出した。“寄り合い所帯”は民進党に限った話ではなく、連合もまた、憲法・原発・安全保障等の政策を巡って対立を抱えている。特に、護憲を掲げる自治労等といった官公労系の労組は比較的、日本共産党に政策が近いとされる。連合内では、「万が一、官公労が日本共産党に引きずられるようなことになったら、分裂の危機に直面しかねない」(幹部)という声もある。参院選青森選挙区でも、日本共産党が候補を取り下げ、民進党の元衆議院議員・田名部匡代氏が統一候補となった。使用済み核燃料の再処理工場や中間貯蔵施設がある青森県では、原子力産業が地域の雇用を支えている。原発を推進する立場の連合の有力団体『電力総連』にとって、“反原発”を掲げる日本共産党との連携は「あってはならないこと」(電力総連幹部)だ。青森県電力総連の長嶺渉会長は先月中旬、連合青森の内村隆志会長に電話で「日本共産党と文書を交わすようなことはしないでほしい。日本共産党と一緒に活動はできない。下手なことをすると、参院選で戦えなくなる」と語り、牽制した。連合青森はその後、「日本共産党と街頭活動は一緒にやらない」との方針を打ち出した。参院選は、連合にとって日本共産党からの組織防衛の戦いでもある。


≡読売新聞 2016年4月6日付掲載≡




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テーマ : 民進党
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