【震災5年・原発事故のあと】(02) 運転延長、選別の時迫る

20160419 16
稼働に向け、16原発26基の安全審査が申請された原子力規制委真会。2月18日、関西電力高浜原子力発電所1・2号機(福井県)の“合格”に目途がついたが、関電幹部は「ヤマ場はこれから」と語る。運転期間が40年を超えた2基は、先に合格した5基と違い、深刻な劣化が無いことを確認する別の手続きが、あと4ヵ月余で終わらないと廃炉に追い込まれるのだ。福島第1原発事故後の法改正で、原発の運転期間が原則40年に制限され、延長するには多額の費用がかかる“特別点検”が必要になった。各社は延長か廃炉か、経済性の面から選別を迫られる。関電は昨年、出力50万kW以下の2基の廃炉を決める一方、82.6万kWの3基の延長を申請した。この内、高浜の2基は、今年7月7日が手続きの期限と定められている。政府は昨年、2030年度の電源構成の目標となる『エネルギーミックス』を策定。全発電量に占める原発の割合を“20~22%”とした。現時点で原発の新増設は想定していない。しかし、既存原発43基のうち25基が、2030年度までに40年を超え、選別に晒される。事故の影響は海外にも及んだ。ドイツ南部にある人口約3500人の町・グラーフェンラインフェルトでは昨年6月、「唯一の産業」(ザビーネ・ルッツ町長)だった原発が停止した。1981年から運転され、稼働中の原発では国内最古だった。メルケル政権は事故後、2022年までの原発全廃を決定。5年前に17基あった原発が次々と止まり、今は残り8基となった。日本から原発2基の輸入を決めていたベトナムは、津波対策等の再検討の為、着工を延期した。ただ、『日本エネルギー経済研究所』の小山堅常務理事は、「どの国も、経済性・安定供給・地球温暖化を総合的に考え、多様な電源を選ぶ。安全性は当然最重要だが、それだけではない」と語る。事実、多くの主要国の原発政策は事故後、大きな変化が無い。イギリス政府は原発維持の方針を表明。5ヵ所以上で新設計画が進む。日本では、福島事故を教訓に安全規制が厳格化され、電力各社は、重大事故に備えた対策等に計3兆円以上を費やした。4月に電力小売りが全面自由化され、競争が激化すれば、原発を抱える各社の経営環境は厳しさを増す。経済産業省幹部は「老朽原発の半分程度が運転延長すれば、20%の目標達成は可能」と見込むが、東京理科大学の橘川武郎教授(エネルギー産業論)は「原発を継続するならば、古い原発を畳んで最新鋭のものに変えることを議論しないのは無責任だ」と指摘している。 (ベルリン支局 井口馨・経済部 山岸肇)


≡読売新聞 2016年2月24日付掲載≡




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