【私のルールブック】(48) 邦画は見ない主義…はやめた!

とある仕事の関係で、邦画を20本近く観る羽目になった。実は私、邦画は粗観ない主義でして…。というのも、一応、私も役者ですから、同業の立場としては冷静に観ることができないと言いますか、ついつい粗を探してしまうと言いますか…。で、敢えて避けてきた訳でございます。でも、仕事絡みじゃしょうがないですから、観ましたよ。観まくりました。で、感想はというと…。意外なことに、何かホッとしたんですよね。「ホッと」っていうのも妙な表現なんですが、安心したというか、生意気ながら感心したと言いますか…。まぁ、よく出来ておりました。流石に全ての作品が100点とまでは言いませんが、好みもありますしね。それでも、思わず唸り声を上げてしまうような秀逸な作品から、エンターテインメントに徹したクオリティーの高い作品まで、素直に「邦画ってすげえじゃん!」って感じ。

何より、役者さんが素晴らしかったです。それも若手の。染谷将太くん、新井浩文くん、安藤サクラちゃん…。「いい役者さんだよ~」という声は私の耳にも届いておりましたが、初めて拝見させて頂いて、技術もさることながら、彼らの芝居から溢れ出る“映画愛”に感銘を受けた次第。何て言えばいいんですかね、物凄く芝居を楽しんでいるって感じなんですよね。だって、私が彼らの歳の頃は、楽しむなんて余裕は無かったですから。勿論、芝居は加減が大事ですから、緊張し過ぎても駄目、手を抜き過ぎても絶対駄目。適度な余裕を持って楽しむぐらいじゃないと、お客様が心地いいと感じる芝居には近付けない…頭ではわかっていたんです。けれど、いざ実践するとなると、中々思うようにいかないのが芝居の難しさでもあり。それをね、彼らはいとも簡単に実行してしまう訳ですよ。「自分、映画大好きっす」「芝居やっている時が一番楽しいっす」「だから、しんどいのも全然苦になんないっす」…そう言ったかどうかはさて置き、彼らの芝居を観て、そんな声が聴こえてくるようでした。




同時に、「時代は変わったんだな」と痛感致しました。私は無駄に子役の頃から芝居作りに携わってきましたので、どうしても昔の作り方・撮り方が抜けないんです。ヤクザ屋さんに負けず劣らずの人相の悪いスタッフさんたちが、大声を張り上げながら現場を拵えていく。所謂“職人気質”の方々の仕事振り。監督が納得いかないと、何十回とテストを繰り返される。頭は朦朧。思考回路ゼロ。何が正解かわからない。わからなくなった時に、何故かOKが出る。所謂“愛情の裏返し”であり、育てる作業。キツいけど、そんな現場が大好きでした。しかし、今は昔。そんな現場は最早、どこにも存在しないでしょうね。おかげで、燃え尽き症候群ではないですが、芝居に身が入らなかった時期もありました。若しかしたら、その流れもあってバラエティーの畑で勝負してみたくなったのかもしれません。ゼロから始められますから。でも、ひょんなことから邦画を観る羽目になり、若手の方々の芝居を目の当たりにし、不思議と今の時代の物作りの在り方を受け入れられたような気がします。時代は変われど、ゼロから物を作るって大変なことですからね。何か芝居してみたくなったかな~。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年4月21日号掲載

寄生獣 完結編 通常版 [ 染谷将太 ]
価格:3767円(税込、送料無料)





スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR