【震災5年・原発事故のあと】(04) 中間貯蔵、用地確保は1%

20160425 07
水田が広がる福島県南相馬市の馬場地区。2月24日朝、フェンスで囲まれた約12haの“仮置き場”から、原発事故に伴う除染で生じた汚染土を積んだトラックが次々と出てきた。向かう先は、同市内の別の仮置き場だ。「根本的な解決にはならないが、いつまでもここに汚染土を置いておけない」。馬場地区の区長を務める酒井茂さん(67)はそう話す。仮置き場は、国や市町村が民有地を借りるなどして、県内約1200ヵ所に設けられている。環境省は2011年10月、同県全域で発生する汚染土を集中管理する中間貯蔵施設を建設するとして、「仮置き場での保管は3年」と表明。これを受けて、賃貸借契約の多くは3年間と定められた。ところが、肝心の中間貯蔵施設の整備が進まない。同省は2月19日、主要設備を今秋着工すると発表したが、2000人以上いる地権者との交渉は難航していて、確保できた用地面積は全体計画の約1%。仮置き場には計約824万㎥の汚染土が積み上げられているのに、施設に搬入できたのは試験輸送の約4万㎥だけで、交渉の停滞が続けば、最大約2200万㎥が発生すると想定される汚染土を全て収容するのは困難とみられる。馬場地区の仮置き場は3年の契約期限を3月に控え、水田の整備事業が計画されていることから、市は使用継続を断念。仮置き場では初のケースとして、昨年末から汚染土の移動を開始した。酒井さんは、「汚染土が無くなることで、原発事故後に避難した住民が戻ってくれば」と願う。ただ、移動先の周辺住民の説得は簡単ではなかった。市の担当者は、「このままでは、使用を継続できない仮置き場が続出しかねない」と懸念する。

“汚染ごみ”も、行き場を失っている。同省は汚染土とは別に、放射性物質濃度が1kg当たり8000Bqを超えるごみ計17万トンを“指定廃棄物”と位置付け、福島・宮城・茨城・栃木・群馬・千葉の6県に長期保管の為の処分場を設けると決めた。指定されたのは稲藁や牧草が多い。しかし、福島以外の5県では施設整備の目途が立たない。候補地を示した宮城・栃木・千葉で「人が住めなくなる」と地元が反発し、茨城と群馬では候補地の提示すらできていない為だ。2月4日、同省は打開策を打ち出した。時間の経過で8000Bq以下になった廃棄物は指定を解除する方針を表明。同省幹部は、「指定廃棄物の量を減らし、施設容認へのハードルを下げたい」と狙いを語る。指定から外れれば、法律上は通常のごみとして処理できる。だが、その処理でさえ国の思惑通りに進むかは不透明だ。原発事故で全住民が避難した福島県浪江町の牧場。昨年11月、約60km離れた宮城県白石市から、同市内の畜産農家で出た8000Bq以下の汚染牧草約260トンが運ばれてきた。この牧草は、同市が使用する焼却施設がある周辺自治体では受け入れが認められなかった。一方、汚染で売り物にならない牛を「可哀想だ」として放牧し続けている同牧場は、「餌に使いたい」と提案。浪江町の馬場有町長は「住民の帰還意欲を削ぐ」と福島への“押し付け”に抗議したが、同市は牧場の提案に応じた。廃棄物行政に詳しい岡山大学の田中勝名誉教授は、「濃度が基準を下回れば既存の処理場で安全に処理できることを、国は丁寧に説明すべきだ。行き詰まり状態が更に続けば、押し付けに拍車がかかる恐れもある」と指摘した。


≡読売新聞 2016年2月27日付掲載≡

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