福島へ出稼ぎに行ったデリヘル嬢が見た震災5年――“3.11バブル”が弾けて淘汰が進む風俗業界、それでも女の子たちが「福島で働きたい」と口を揃える理由

東日本大震災直後、復興需要に沸いた福島県いわき市では、“風俗バブル”が発生していた。「日本で一番稼げる」と言われ、この地へ足を運んだ風俗嬢たちは、そこで何を見たのか? 3.11直後と今の福島を知る2人の“出稼ぎデリヘル嬢”に話を聞いた。 (取材・文/フリーライター 九界猛)

20160426 09
「インターネット上の求人に『3日で21万稼げます』と書いてあったんです」――。ユキさん(仮名・42)がいわき市内のデリヘルで働き始めたのは2011年8月のこと。「店の人に連絡して、初めて勤務地が福島だと知りました。原発事故の影響も聞いたんですけど、『大丈夫』と。実際に行ってみても、被害の深刻さは感じられませんでしたね。スーパーやコンビニも普通にやっていたし。多い時だと週1回は行っていました」。彼女が働いたデリヘルのオーナーは、いわき市から上京したスカウトマンだった。「震災後、彼は東京で働いている女の子を何人か引き連れ、いわき市内で新規店をオープンしました。当時、このエリアのデリヘルは、ホームページで顔出しをしているのが韓デリ(韓国人デリヘル)ぐらいしかいなくて、『顔バレの心配が無い東京の子を集めたら人気が出る』と考えたようです。その狙いが当たったのか、凄く繁盛していましたね」。女の子の手取りは、60分の稼働で約1万。中には1日に10万円を稼ぐ子もいたが、それ以上に稼いでいる子はゴロゴロいたという。「いわきのデリヘル需要はかなりのもので、ラブホが満室の日も少なくありませんでした。なので、あぶれてしまったお客さんを狙って、ホテル代わりにキャンピングカーを使ったお店ができた。お客さんが払うサービス代は60分5万円ほど。女の子には1回につき3万円バックで、一晩で5人は付くとのこと。『滅茶苦茶稼げる!』。この話を知り合いから聞いて、私は直ぐ応募。既に定員はオーバーしていましたが、補欠として合格しました。そして、自分の番が来るのをずっと待ちましたが…最後までお呼びはかかりませんでしたね。待遇が良過ぎて、欠員が出なかったみたいです」。

バブルに沸くいわきの風俗。どんな客が多かったのか。「現地に行くまでは、他県から来た復興作業員ばかりかと思っていましたが、私のお客さんは地元民が多かったですね。勿論、その中には被災者の方もいました」。ユキさんには、忘れられない被災者の客がいる。「40代ぐらいの、如何にも普通なおじさんが、プレイが終わって服を着る時にポロッと、『俺、津波で家族や親戚をいっペんに亡くしちゃったんだよね』と漏らしたんです。聞くと、東京に単身赴任していたらしいですが、奥さん・子供・両親・親戚は皆、福島にいて。一族全員が津波で流されてしまったと。喪主として、10人近くの葬式を1人で手配したそうです。『天涯孤独になっちゃった』と表情を失った顔で話していました。私は、『何てお声がけしていいかわかりません』って正直に言いました。若しそれを最初に聞いていたら、プレイできなかったでしょうね。こっちは『復興需要で儲かる』と思って来ている身じゃないですか。何か居た堪れなくて…」。ユキさんは結局、いわきで3年間働いた。「2013年ぐらいからかな。店はかなり暇になっていました。インターネットで店の評判を見たら、『パネマジ多過ぎ』みたいな意見が並んでいた(苦笑)。私は、いつも本指名してくれる客が何人かいたので稼げたんですけど、『もう、この店はダメだな』と思いましたね。私が辞めて半年後、店は潰れました」。出稼ぎを辞めてから約3年経つが、ユキさんは「いわきでまた働きたい」と話す。「ここのお客さんって“スレていない”んです。普通のサービス、例えばお客さんの靴を揃えるだけでも、『こんなことしてくれるの?』って感動してくれる。お客さんの8割ぐらいがリピートしてくれました。ただ最近は、いわきに新規デリが乱立して、若い女の子が優先して採用されるようになった。私の年齢だと、中々難しいんですよね」。




20160426 10
東京都内のデリヘルで働くモコさん(仮名・29)は、2013年の冬からいわきへ出稼ぎするようになった。「友だちから『景気がいいよ』って誘われて。東京で働くと1日2万~3万円なんですけど、当時のいわきは7万~8万円稼げましたね。ただ、復興の仕事が減ったせいか、お店は暇になってきました。今だと、1日待機して5万いくかどうか…」。3.11から5年が経過したが、今でも客と震災の話をするのだろうか? 「偶にしますよ。例えば、ホテルに震災の被害が残ったままだったりすると、お客さんと『あの日、どうでしたか?』とか話したり。ただ、落ち込んでる方はいませんよ。皆、前向きです」。前出のユキさんと同じく、モコさんもいわきの客に好感を持っている。「土地柄ですかね? 女の子に攻めてもらいたい、受け身なお客さんが多いです。強要とか、変なプレイはしない。優しい人が多いって印象です。他の出稼ぎの子の評判もいいですよ」。ただ、客の出稼ぎ嬢への評判は…。「出稼ぎを始めた頃は、東京から来た子は少なかったので、どのお客さんもチヤホヤしてくれました。でも、今は東京の子に不信感を抱いている方が結構います。店のスタッフに聞いたんですが、最近は東京から来た子をオススメしたら、お客から『東京モンは手抜きするから嫌だ』って返ってくることが少なくないそうです」。競争が激しくなり、客が求めるレベルも上がった。復興需要も一段落した感がある。出稼ぎデリヘル嬢にとって、今のいわきは“天国”とは言えないようだ。「でも、出稼ぎに行くならいわきです。お客さんはいい人ばかりだし、オーナーや現に住んでいる子とも仲がいいから、会いたくなる。いわきだったら安心して働ける。『出稼ぎは好きじゃないけど、いわきなら行きたい』って子は多いですよ。私にとっても、第2の故郷みたいになっています(笑)」


キャプチャ  2016年4月4日号掲載




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