【連鎖地震・検証】(02) 集落孤立、捜索隊阻む

20160426 12
土砂の中から4人の遺体が見つかり、今も1人が安否不明の熊本県南阿蘇村河陽地区の別荘地。自衛隊が本格的な捜索に着手したのは17日朝だった。16日午前1時25分の“本震”で土砂崩れが起きてから、24時間以上が経っていた。「警察・消防・自衛隊等を最大限投入する。自衛隊は16日中に1万5000人態勢とする」。菅義偉官房長官は、16日午前6時前の記者会見でそう表明した。“前震”後の15日時点で益城町等にいた自衛隊員は約1700人だけで、16日未明から主に九州各地の部隊が南阿蘇村を一斉に目指した。ところが、山間部の同村は道路の寸断で複数の集落が孤立。阿蘇山周辺に通じる13本の道路のうち、大型車両が通行できたのは6本だけで、「道路に亀裂が入った場所もあり、慎重に偵察しながら走った」とある部隊の幹部は振り返る。多くの部隊は16日を移動に費した。警察も、「一時、立ち往生した部隊があったようだ」(警察庁幹部)という。孤立地域で救助・捜索を迅速に行うには、へリコプターの活用が不可欠だ。教訓となったのが、新潟県中越地震(2004年)や岩手・宮城内陸地震(2008年)だった。68人が死亡した中越地震では61集落が孤立。小千谷市の消防団副団長だった金子正男さん(66)は、「火災の煙が見えるのに現場に行けなかった」と話す。内閣府が岩手・宮城内陸地震後に纏めた報告書は、「孤立が想定される場合はヘリコプターの着陸場所を確保する必要がある」と指摘した。

今回、自衛隊は、最大58人が搭乗可能な大型輸送ヘリコプターで隊員や車両の輸送を試みた。だが、同村内には着陸できず、隣の阿蘇市で部隊を降ろした為、更に陸路で2~3時間かかった。同村には学校のグラウンドがあったが、避難者がいて着陸できなかった可能性があるとする自衛隊関係者もいる。16日は、孤立した被災者を吊り上げる救助等が中心になった。内閣府は、中越地震の翌年から孤立の恐れのある集落を調査し、2013年度は全国で1万7212ヵ所。阿蘇山一帯は火山灰等の噴出物が多く、崩れ易い地質で、大雨による土砂災害が多発しているが、着陸場所等の備えは不十分だった。道路渋滞も障害になった。16日未明から順次、福岡県小郡市を出発した部隊は、熊本県内で激しい渋滞に遭う等して、通常の約3倍の7時間を要して南阿蘇に入った。給油待ちの車列が渋滞を悪化させていたという。阪神大震災や東日本大震災でも、渋滞で緊急車両が遅れるケースが相次いだ。2014年11月に『改正災害対策基本法』が成立し、放置車両の強制撤去等ができるようになったが、給油待ち等を抑制する仕組みは無い。元陸自幹部で岩手医科大学防災危機管理対策担当顧問の越野修三氏は、「自治体はあらゆる災害を想定し、ヘリコプターが着陸できる用地を選定したり、緊急車両を優先通行させる訓練を実施したりすることが重要だ」と指摘する。


≡読売新聞 2016年4月23日付掲載≡




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