【連鎖地震・検証】(03) 庁舎損壊、市職員が転々

20160427 14
熊本地震で被災した熊本県宇土市役所は、職員が5日間で3度も引っ越すという混乱に陥った。14日の“前震”で、同市は震度5強。築51年の5階建て本庁舎は壁に罅が入り、市役所機能は隣接する別館に移された。だが16日未明、震度6強の“本震”で本庁舎が無残に変形し、倒壊すれば別館も巻き込まれる恐れが生じた為、職員は駐車場の仮設テントに移動。19日には市内の体育館に移った。本庁舎は2003年度の耐震診断で、「震度6強で大きな被害の可能性が高い」と判定された。だが、対策は先送りされ、建て替えの検討に携わった浜口多美雄市議(65)は「『熊本で大きな地震は無い』と思い込んでいた」と唇を噛む。市役所の電話回線は一時、1本だけになった。庁舎が使用停止になったのは、“前震”直後は宇土市と大津町だけだったが、“本震”後は八代市・人吉市・益城町を加えた5市町に増えた。何れも築35年以上と古く、地震の連鎖で建物にダメージが蓄積。今も強い余震が止まない為、自治体側が使用に慎重になっている。総務省消防庁によると、防災拠点となる全国約19万棟の耐震化率は、2015年3月現在で88.3%だが、自治体庁舎は学校や病院に比べて低く、平均で74.8%。多くの自治体は、遅れの理由として“財政事情”を挙げる。

一方、5市町の内、宇土市・人吉市・益城町は『業務継続計面(BCP)』も策定していなかった。BCPは、自治体が災害時に備え、職員参集の手順や庁舎の代替施設等を事前に決めるもの。庁舎の損壊等で一部の自治体業務が止まった阪神大震災や、2004年の新潟県中越地震の反省を踏まえ、国が自治体に策定を求めてきたが、昨年12月の消防庁の調査では、策定済みの市区町村は36.5%に留まった。益城町役場は町保健福祉センターに仮住まいし、罹災証明書の発行等はストップしたまま。町の防災担当者は23日、「必要なデータを取り出せず、復旧の目途が立たない」と嘆いた。一方で大津町は、BCPに基づいて別の建物にバックアップしてあったデータを利用し、住民票発行等を直ぐに再開できたという。『関西大学社会安全研究センター』の河田恵昭センター長は、「災害時は、自治体の業務が大幅に増加する。活断層の傍にある庁舎の耐震化を優先的に進めると共に、BCPの策定を急がなければ、被災住民が生活再建に苦しむことになる」と指摘する。益城町と隣の西原村では、役場庁舎に設置された震度計から気象庁にデータが届かない事態も起きた。同庁によると、通信障害が原因の司能性があるという。“本震”の最大震度は当初、“6強”とされたが、その後、同庁が益城町の震度計から直接データを取り出した結果、20日になって“7”に変更された。震度情報は、警察・消防・自衛隊等にとって派遣規模の判断基準になる可能性がある。今回の不備が対応に影響したかどうかについて、消防庁は「検証対象になり得る」としている。


≡読売新聞 2016年4月24日付掲載≡




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