【連鎖地震・検証】(05) 通信途絶、地面にSOS

20160430 01
16日未明の“本震”で壊れた熊本県南阿蘇村のアパート。1階にいた東海大学学生の山口京裕さん(18)は窓を壊して脱出し、スマートフォンで母親に電話をかけ続けた。繋がったのは数秒間。「もう逃げる」と伝えるのが精一杯だった。14日夜の“前震”では、県内の一部地域が停電し、携帯電話大手3社の基地局でダウンしたのは計約50局に留まった。しかし“本震”後は、2度の激震に見舞われた電柱や電線の破損が続発し、広範囲で17日頃まで停電。基地局の非常用バッテリーも停電解消まで持たず、熊本・大分両県で計約400局が機能停止した。通信の途絶が問題になった東日本大震災を教訓に、携帯電話各社は基地局のバッテリーを大容量化する等の対策に力を注いだが、“連鎖地震”による長時間の広域停電は想定外だった。山間地で孤立したり、倒壊家屋に閉じ込められたりした被災者は、外部と連絡が取れないと命の危険にも晒される。“本震”の日の午後、南阿蘇村上空を飛んだ広島県防災航空隊のへリコプターは、崖崩れで孤立したペンション前の道路に“2人保ゴ要”という白い文字を発見した。近くの車の中にいた80歳代の夫婦が腰や足の痛みを訴えた為、ヘリコプターで搬送した。「固定電話やスマホは通じず、夫婦がエコノミークラス症候群になる恐れもあった」。文字を書いたペンションオーナーの山内祥嗣さん(46)は振り返る。

2004年の新潟県中越地震では、同県小千谷市の山奥で小学生3人が倒壊家屋の下敷きになり死亡。住民が救急車を呼ぼうとしたが、携帯電話は通じなかった。国は自治体に、孤立の恐れがある集落に衛星携帯電話を配備するよう促した。しかし、衛星携帯を導入した小千谷市の場合、20台分のコストは年間120万円。多くの自治体は二の足を踏み、南阿蘇村も昨年8月、「コストが効果に見合わない」として見送った。今回、明らかになったのが、“Wi-Fiスポット”の威力だ。500ヵ所を超える避難所等に臨時設置され、通信障害が生じていても、電源を確保できれば、近くの人はスマホでインターネットに接続できる。無料通話アプリ『LINE』等を使って電話も可能。同村役場に避難した高校生の上田博幸さん(17)は、LINEで連絡が取れた兄と再会し、抱き合って喜んだ。コンビニや飲食店等にある常設のWi-Fiスポットも、九州全域で無料開放された。災害時に手元でインターネットと繋がるWi-Fiの重要性は高まっている。東北大学の丸谷浩明教授(防災社会システム)は、「行政や事業者はWi-Fiの有効性等を対策作りに生かし、様々な災害の形に対応できるよう、衛星携帯や無線も含めた複数の通信手段を備えることが重要だ」と指摘している。 =おわり


≡読売新聞 2016年4月27日付掲載≡




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