【丸分かり・激震中国】(11) 相次ぐ日系企業の失敗、合弁相手の発言力が増す

20160502 16
2015年は、日本企業が中国の生産拠点を閉鎖・縮小することが相次いで発表された年だった。『カルビー』は中国企業との合弁を解消し、51%の持ち分全てを合弁相手にたった1元(約18円)で譲渡。『パナソニック』は中国での液晶テレビ生産から撤退し、北京のリチウムイオン電池工場を閉鎖した。また、『エスビー食品』がカレールー等の生産を打ち切り、『サントリーホールディングス』は中国のビール大手『青島ビール』との合弁を解消する等、日系企業の失敗が後を絶たない。中国に進出した日本人の経営者やビジネスマンは、地方政府の役人の歓待を受けて「干杯、干杯(乾杯、乾杯)」と繰り返している内に、「中国と日本は異質の国である」ことをすっかり忘れてしまうことが多い。実際に中国で自動車製造会社等を経営したが、地方政府の役人の態度は中国進出前後で大きく変わった。誘致の段階では「皆さんのご要望には全て応えますよ」と頼もしかったが、進出後に停電が続いたことがあり、電力会社に改善を指導するよう地方政府にお願いに行ったところ、「民間同士のことだから、双方で解決してほしい」と断られた。彼らにとっては、自らの実績として評価される工場誘致に力を入れていただけだったのだ。政府による突然の規則変更や、法律を身勝手に解釈した要求に直面する。採用した中国人の役職者が、日本人駐在員と同額の給与を求めてくる等、驚くことには事欠かなかった。

ある中小の電気部品会社は、北京郊外に中国企業との合弁会社を設立した。総経理(社長)が労働ビザの延長申請をしたところ、「60歳を超えている」との理由で不受理となった。交渉の末、1万元(約18万円)をこっそり地方政府の担当者に渡し、要求通りに「来年は延長の申請をしない」との誓約書を提出して、何とか労働ビザを手にすることができたという。翌年、新しい総経理が赴任することになり、労働ビザ取得の申請書類を提出したが、「大卒でないから総経理には相応しくない」という理由で、労働ビザが発給されなかった。上位の市政府に抗議して解決したが、この手のチャイナハラスメントは日常茶飯事に起こっている。日系企業の撤退が増えている原因として、競争激化による収益の減少やコスト増等が挙げられる。最近では営業政策等、経営の根本方針で合弁相手との意見の対立が抜き差しならない状況になってきている。中国が改革開放政策を取り始めた頃、中国側出資者は日本企業や派遣される日本人に一目置いていた。しかし、世界第2位の経済大国になり、自信をつけたことで、「中国には中国のやり方がある」と企業経営に口出しするようになってきた。出資者の意見対立を抱えた企業は、早晩、市場から消えていく運命にある。日系企業の中国からの撤退傾向は益々強まっていくと予想される。中国の国内総生産(GDP)を始めとする経済指標の正確性が疑問視され、中国市場への不信感は増大しているからだ。更に、市場経済の経験が無いにも拘らず、中国共産党政府が市場に介入して混乱に拍車を掛けることも考えられる。中国売場は“割に合わない市場”となりつつある。 (元スズキ北京事務所首席代表 松原邦久)


キャプチャ  2016年2月2日号掲載

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