【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(61) パナマ文書が思い出させた『イラン・コントラ事件』という資本主義の“鬼っ子”

タックスヘイブン(租税回避地)の利用者に関する情報が大量流出した『パナマ文書』の騒動は、世界に衝撃を与えました。タックスへイブンでの法人設立・資産保有・全融取引の多くは“今のところ”違法ではありませんが、オバマ大統領の言葉を借りれば「それが許されていることが問題」。資本主義の歪み・汚さを改めて思い知った一件です。個人的に興味深かったのは、流出した顧客情報の中に、1980年代の『イラン・コントラ事件』の関係者数人が含まれていたこと。この事件こそ、まさに資本主義が暴走する“兆候”を世界に教えてくれたものだったからです。

アメリカ現代史上、最大の政治スキャンダルとも言われるイラン・コントラ事件。簡単に説明すると、レバノンの過激派組織『ヒズボラ』に捕まったアメリカ兵を救出する為、共和党のレーガン政権が(表向きはアメリカと敵対していた)イランに武器を密輸出していたこと、そして、その収入を親ソビエト政権下にあったニカラグアの反政府ゲリラ『コントラ』に横流ししていたことが判明した――という事件です。また、コントラがアメリカ国内で行っていた大規模なコカイン密売を、『アメリカ中央情報局(CIA)』が極秘裏に支援して、“上がり”を得ていたこともわかっています。つまり、レーガン政権は“テロリズム反対”を訴えながら、裏では反政府ゲリラを支援し、“麻薬との戦争”を宣言しながら、裏ではコカインをバラまく手助けをしていた訳です(一連の事件について、レーガン政権はあらゆる手段で真相を隠蔽し、最後まで大統領自身の関与を認めませんでした)。30年以上が経った今になって、我々がレーガンや当時の関係者たちを裁いても、得るものは何もありません。それより、この事件から教訓として学ぶべきことが沢山ある。レーガンは何故、こうした決定を下す必要があったのか。資本主義というシステムの下で、“カネ”はどうやって“権力”にコンバージョン(変換)するのか。こんな大スキャンダルがあったにも拘らず、レーガンと同じ共和党のブッシュ(父)が1988年、“反共”を掲げて大統領選に勝利した理由は何か…。




更に言えば、そこに“日本”の影を見ることも忘れてはいけません。高度成長やバブル経済で西側諸国(資本主義陣営)の経済を牽引した日本は、謂わば“反共戦争のエンジン”だった。アメリカに安全保障を丸投げし、憲法9条を盾にして世界の戦争や紛争を傍観し、不都合なことには目を瞑って、“1億総中流=1億総現実逃避”で“純粋に働き続けた”日本人は、見えないところで“汚いもの”にがっちりと加担していた訳です。ディスコで踊り狂っていた日本と、凄惨な殺し合いが続いたレバノン内戦を繋いでいたのが、兵器化された資本主義が生んだイラン・コントラ事件という“鬼っ子”だったのです。勿論、東西冷戦が終わった今も、この構図は続いている。そんな世界を変えたいと思うなら、先ずは現実を知ることです。剥き出しの資本主義、世界中で起きている不正義や不条理、これから未来に起きるであろう不幸…。それでも、嘗ての日本人のように「関係ない」と言い張れるでしょうか?


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年5月16日号掲載




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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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