【タブー全開!政界斬鉄剣】(33) 日本の財政は破綻するのか、しないのか――この論争を今すぐに終わらせよう!

日本の財政赤字は、国と地方を合わせて1000兆円を超えている。当然、「このままでは確実に財政破綻まで行き着く」という声は大きい。しかし一方で、「日本の借金は国内での貸し借りだから、何も心配いらない」という意見も根強いことをご存知だろうか? 果たして、どっちが正しいのか? こんなに日本の根本的な話なのに、専門家の間でも意見が分かれるってどういうことなのか? ということで、池田和隆氏に聞いてみたところ、単純明快で目からウロコな解説をしてくれたぞ!

――最初に、財政赤字論争における2つの立場をサラッと纏めておこう。【日本の借金ヤバい派】→国の収入が約50兆円なのに、100兆円近い支出を続ける為に、毎年借金(国債)を増やして大丈夫な筈がない。しかも、年間30兆円を超える社会保障費は、高齢化で今後、毎年1兆円ずつ増加していく。今直ぐに財政を再建しないと破綻するという意見だ。【日本の借金は大丈夫派】→代表的なのは、過去に麻生太郎元首相も語っていた以下のような考え方だ。「『このままでは日本もギリシャのようになる』という意見があるが、ギリシャの場合は国債の約7割を外国人が買っていた。でも日本の場合、国債の9割以上は日本人が買っている。つまり、“家庭内の貸し借り”に過ぎない。日本政府が日本人から円で借りているのだから、政府が円を印刷して返せばいいだけの話!」。しかも、日本は個人の金融資産が約1700兆円もあるから、国の信用度も高く、国債の金利も低いまま抑えられるという意見だ。こうして両者の意見を聞くと、両方とも正しく聞こえてきちゃうんだけど…。
池田「先ず言いたいのは、『霞が関の悪意に満ちた言葉遊びに騙されるな』ということです」

――どういうこと?
池田「よく、“国の借金”って言うでしょ? 先ず、これが大間違い。正しくは“政府の借金”です。国とは、国民も国土も政府も含んだ存在です。政府は飽く迄も国の一部。これを財務省とマスコミは、意図的に“国の借金”という言葉に誤変換してきた。その目的は、“政府の借金”を恰も“国民全体の借金”のように思わせる為です」

――なるほど!
池田「だから数年前まで、マスコミは挙って“国の借金時計”なるものを紹介し、“国民1人当たりウン百万円の借金”等と国民の危機感を煽りまくっていた。しかし大前提として、国民は銀行や郵貯への預貯金等を通じて、政府にお金を“貸している側”なんです。逆に言えば、金融機関は預金者からの借金で国債を買っている訳。つまり、国民は借金を返すどころか、政府から返してもらう側なのです」

――確かに、子や孫の代にまで及ぶ国民全体の借金ってイメージが浸透してるよなぁ。
池田「それこそが財務省の狙いです。日本人の集団意識の強さを利用し、借金の主体を“政府”から“国”にすり替えることで、債権者である筈の国民が債務者の意識にされている。そうなれば、『痛みに耐えて皆で返そう』となりますからね。そうして『増税も已む無し』という空気にすることこそ財務省の狙いであり、実際にそうなっていますよね」




――財務省っておっかない!
池田「いえ、財務省の本当の恐ろしさはここからです。数年前までは、財政破綻の危機をマスコミも巻き込んであれだけ宣伝していたのに、最近は静かだと思いませんか?」

――まさか、それも財務省の意図的な策略なの?
池田「その通り。財務省は、もうすぐ大きな収入が見込めるから静かになったのです。日本の個人の金融資産約1700兆円の殆どが高齢者のものですが、彼らがこれから亡くなることで、ジャブジャブと相続税が入るんですよ。資産額にもよりますが、半分くらい巻き上げられる。実はそれに向け、生前贈与がやり難くなる法改正もひっそりとやっていたりします」

――でも、ここまで膨らんじゃった借金は、やはり一度チャラにしたほうが未来の負担も減って得策なんじゃないの?
池田「そういう考えに至るのも財務省の思惑通り。何故なら、相続税というのは“高齢者が払う”のではなく、“受け継いだ現役世代が払う”お金だからです」

――ああ、確かに!
池田「抑々、高齢者の預貯金は所得税や消費税の納税後に蓄積したもの。死後に相続税として再徴税するなんて、二重三重にお金を巻き上げる行為で、ヤクザにも劣るとんでもない政策です。しかも、日本国民が持つ膨大な金融資産は、国際金融市場における日本の信用を支えている根幹なのです。これを大幅に減らしてしまったら、国の国際的信用まで低下させてしまう。そうなれば、本当にギリシャのように国債の金利が跳ね上がり、国力も低下し、財政破綻に向けて一直線です」

――財政赤字の議論がいつもわかり難いのは、財務省が危機感を煽ったり静かになったりと態度を変えるからか!
池田「財務省の目的は1つ。兎に角、増税したいだけ。その目的の為に危機感を演出したり、相続税狙いに気付かれないように黙ったりして、混乱の原因を作っているのです」

――財政再建の為、本当にやるべきことは何だろう?
池田「先ずやるべきなのは、相続税で国民の金融資産を奪うことではなく、歳出削減しかないんです。最近の日本の年収は約50兆円。国債の償還額が毎年10兆円以上あるので、真水の予算は40兆円弱です。その内、社会保障費が30兆円以上で、今後も毎年1兆円ずつ上昇していきます。先ず、ここをバッサリ削るしかない。話をわかり易くする為、家計で考えてみましょう。と言っても、“兆”を“万”に、“年”を“月”にするだけですが。月収が50万円で、家のローンが10万円。更に、医療費や保険の掛け金が30万円以上ある。でも、それじゃ生活費も遊び代も足りないからって、毎月50万円ずつ借金をし続けて、贅沢な暮らしを続けている。但し、貯金は1700万円ある。この場合、どうすればいいと思います?」

――浪費を止めなければ、貯金は無くなるだけだよなぁ。
池田「ですよね。抑々、1700万円の貯金があるから、月収50万円なのに毎月50万円も借りられているのです。しかし、その貯金が無くなれば誰も貸してくれなくなる。だから、今の生活を続けたら、金持ちから一転して破産してしまうんです」

――何か方策は無いの?
池田「日銀主導で金利を上げることです。日本経済の停滞の原因は、お金があるのに回っていないことにある。つまり、個人が消費をせず預貯金に回し、そのお金を預かる金融機関は誰にも融資していない。例えば、5000万円の貯金を持つ70歳の人がいたとしましょう。今の長寿社会では、自分が何歳まで生きるかわからない。もし100歳まで生きれば、未だ30年もあるから、そりゃあ貯金が減るのは不安です。でも、金利が5%になれば、利息だけで年間250万円になる。この増えた分くらいは安心して消費するでしょうから、年金を大幅に減額しても殆どの高齢者は困らない。当然、本当の弱者にはケアをすべきです。一方で金融機関も、金利が上がれば預金者に支払う利子が増える為、必死に借り手を探す必要が生じる。中小零細企業へも、融資の営業に走り回る。そして、貸した金を回収する為、その企業の経営支援も銀行がやる。そんなサイクルが、嘗ての強い日本を支えていたのです」

――でも、そうなると国債の金利も上がり、やっぱり財政は破綻しちゃうんじゃ?
池田「だから歳出削減なんです。ちゃんと自分の収入を見つめ、身の丈に合った生活をすべきなのです。借金で収入の倍の生活を維持する発想がクレイジーなのです。元々、日本の法律は赤字国債を禁止しているんですよ(利益が子や孫の代まで及ぶ公共事業目的の建設国債はOK)。それを約50年前、故・福田赳夫元首相が大蔵大臣時代に“特例公債法”を作ってからおかしくなった。当時は東京オリンピック直後の急激な景気悪化を乗り越える為の“特例”だったんですが、その後、自制心の無い政治家と役人が恒常化させてしまった。ただ、政府が収入額の倍の支出をしているということは、国民が納税額以上の行政サービスを受けていることも意味していると、我々は理解すべきです」

――僕らも身の丈に合ったサービスで我慢する心を持つべきなのかな? 次の選挙では、正しい財政再建計画を示す党が現れればいいんだけど…。


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官。1967年、熊本県生まれ。“農水族議員のドン”と呼ばれた松岡利勝農林水産大臣(故人)の秘書を16年間務め、国家権力や利権・国の意思決定の実態を内側から目撃してきた重要人物。


キャプチャ  2016年5月16日号掲載




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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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