【私のルールブック】(50) 最後の働き盛りは最後のギャンブル

我々の仕事は、スタッフさんたちの下支えが無くては成立しない。簡単に例えるならば、“ドッキリ”系の番組の際、当然、ドッキリを仕掛けたVTRを観ながらのリアクションとなる訳で、素材のVTRが無くては収録のしようがない訳である。しかも、飽きのこない面白可笑しいクオリティーのものでないと、我々のリアクションが弱くなってしまう恐れもあり、その苦心たるや相当なものと思われる。スタッフさんたちの下支えは、もっと根っこの部分にも存在する。それは、“余所では見られない坂上忍”探しである。あの番組では家を探しながら燥ぐ坂上、こっちの番組では東大生を相手に激怒している坂上、そっちでは生番組の坂上、あっちでは料理好きの坂上と…。大した引き出しも持ち合わせていない私風情の為に、スタッフさんたちは苦心しながら、どうにか多羅尾伴内的に様々な顔を作り出して下さっているのである。

勿論、他番組と被らないようにするのは礼儀であり、プライドでもあるのだろうが、では、私が自力で何通りもの顔を産み出せるかというと、甚だ疑問である。よって、最近の番組作りにおける打ち合わせは、この手の内容のものが殆どである。某公営放送(NHKに決まっています)で初めて司会を務めさせて頂いた際は、某民放8チャンネル(フジテレビに決まっています)における生放送の時とは異なる、「もっと落ち着いた、深掘りのできるトーク番組をやってみませんか?」と提案され、私も興味があったので快諾させて頂きました。つい先日も、幾つかの番組でお付き合いさせて頂いているプロデューサー&ディレクターさんから、「お笑い番組の司会ってやったことないですよね?」と訊かれ、「ない」と答えると、「じゃあ、やってみましょう」と…。勿論、中には「流石にこれは…」といった内容のもので、生意気ながらお断りする番組もあるのですが、お世辞でも何でもなく、私という素材をああだこうだと考えあぐねて下さることだけでも、素直に感謝な訳です。だってね、もうすぐ49歳になるおじさんですから。半世紀近くも生きてりゃ伸びしろなんて皆無ですし、伸びしろ以前に、私は現代のやり方に寄り添う気が無い男ですからね。昭和万歳! そりゃあ、厄介ですよ。




とは言え、感謝していると言えば聞こえはいいですが、それこそ、50近いおっさんが感謝だけではいけない訳です。感謝に見合う“何か”を差し出さなくてはならない。まぁ…結果ですよね。スタッフさんたちの苦心が報われるのは、私からの感謝の言葉等ではなく、結果しかない訳です。もっと生々しく言えば、番組を継続できる程度の数字を残すということになるんでしょう。あ~あ、そこには関わりたくなかったんだけどな~。何とな~くゆらゆら、ユラユラやってられたらな~ってね。でも、どうやらそうも言っていられないようで…。なんで、考え方を改めました。結果はどうあれ、仕事における最後のギャンブルを真剣に楽しみましょうって。スタッフさんたちに支えられながら、究極のギャンブルにズッポリ浸かってみようかなってね。最後の働き盛りと思っているので、最後のギャンブルをエンジョイしましょ。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年5月5日・12日号掲載

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テーマ : 俳優・男優
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