【儲かる農業】(13) ドローンにクラウド…テクノロジーが切り開く農業

日本の農業の生産性は低いと言われている。やる気のある農家の登場はその状況を打破するだろうが、新サービスや新たなテクノロジーもまた、それを後押ししそうだ。

20160523 03
近未来の20XX年になっても、農業の朝は早い。といっても、最近では専ら、センサーとロボットが殆どの作業をしてくれている。嘗ては、どれくらいの水が入っているか水田1つひとつを巡回して確認し、それに合わせて水門を開いて水量を調節していた。そして、それはコメ作りで最も時間を取られる作業だった。今では、水位を見張るセンサーと自動水門開閉ロボットの仕事となった。かといって、惰眠を貪る訳ではない。空いた時間で、クラウド上にある今年の作物の状況と、現在の相場や飲食店での人気を照らし合わせて、どれくらいの人を雇えばいいのか、或いは、いつ収穫すべきかをスマートフォン片手に判断する。しかし、心配は無用だ。人工知能(AI)が最適なパターンを提案してくれるからだ――。そう遠くない未来に、こんな景色が広がっている筈だ。ここでは、既に実現しかけている、或いは実験中の新サービスやテクノロジーを紹介したい。鍵となるのが、“センサー”“ロボット”“ドローン”“クラウド”といったワードだ。東京都渋谷区代官山にオフイスを構える『リアクティブ』。ドローンで撮影した画像をAIで解析する技術を持ち、収集した情報を基に企業にコンサルティングを行うべンチャーだ。同社は、そのノウハウを農業にも生かそうとしている。ドローンを自動で飛ばして水田や畑の画像データを収集し、AIが作物の質や量、或いは害虫の有無等を分析・予測するのだ。既に、新潟県魚沼市で実験中だ。今後は、「農家や企業にアドバイスをしていく」(最高執行責任者の飯沼純氏)。このような最先端の機器はドローンだけではない。『クボタ』等大手の耕作機械メーカーは、無人運転・無人収穫の実証実験を重ねている。更に、大型ロボットが入り辛い斜面の果樹園等に対しては、人間の脚力や腕力を補強するアシストスーツの開発が和歌山大学等によって進む。牧場では、テクノロジーによる効率化が既に現実化している。

畜産業の市場規模はコメの市場よりも大きいが、日本の畜産業の生産性は先進国の中で低い。そこで『ファームノート』では、センサーとAIで家畜の発情期を逃さず効率的に受精ができる仕組みを提供。他にも病気の予防など機能が多いが、特徴はスマホでの操作が簡単なことと、グラフ等が多用され見易いことだ。既に大規模畜産農家が続々利用を始めていて、「日本の畜産業の生産性を向上させる」(小林晋也社長)と意気込む。また、農家を困らせる害獣の駆除には『アルゾック』が参入し、センサー技術等を生かして罠に動物がかかった際には知らせてくれるサービスもある。今後は、こうした分業とアウトソーシングが益々増えていくだろう。ここまで自動化や省力化が進むと、ある面では農業は楽になるが、別の能力が求められ始める。既に、大規模な農業法人では、百貨店の催事への営業しかしないような社員もいる。更に今後は、「どのサービスやテクノロジーが必要なのか」「コストに見合うのか」「導入する場合の人繰りはどうするのか」といった判断が求められる。クラウドの情報を見ながらマーケティングに頭を悩ますような人材も必要になるのだ。農業向け人材関連サービスを提供する『ライフラボ』。今、同社が力を入れ始めているのが、ビジネスマンをヘッドハンティングするかのように、農業法人の依頼を受けてスキルを持った人材を探し、マッチングするサービスだ。そこでは、単純な作業ではなく、専門性の高い人材が求められ始めている。特に、「大規模な農場の管理を経験したような人材は人気が高い」(西田裕紀社長)という。長らく、日本の農業は生産性が低く、農業従事者の頭数に頼るような状況が続いてきた。しかし、今や若い人材や外国人労働者の確保が年々難しくなっており、頭数ありきの農場運営には限界がある。このままでは、農地の集約が進み、大規模化したところで、それを運営できるだけの人手が足りない。だが、ここで挙げたようなサービスやテクノロジーが加われば、著しい生産性アップが期待でき、日本の農業の未来を切り開くことができるかもしれない。


キャプチャ  2016年2月6日号掲載




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テーマ : 農政
ジャンル : 政治・経済

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