【2015年の10大問題】(07) 子宮頸がんワクチン、百害あって一利なし

子宮頸がんワクチン(以下、頸がんワクチン)は、2009年に“任意接種”用に承認されました。そして2013年4月に予防接種法が改正され、小学校6年生から高校1年生の女子に対し国が積極的に勧奨すべき“定期接種”に格上げされたのも束の間、2ヵ月後の6月には一転、厚生労働省が「積極的な摂取勧奨を差し控える」と発表しました。差し控えの理由は副作用です(副反応ともいう)。任意接種の頃から副作用が目立ち、『全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会』などが活動を始めたため、国も副作用を無視できなくなったのです。勧奨の差し控え後には、ワクチン接種率が72%から8%に激減しました。これに対し、日本産婦人科医会などは「このままでは日本は子宮頸がん大国になる」と、勧奨再開を目指しています。いったい何が正しく、誰が間違っているのか、まず、頸がんワクチンの原理と効果から検討しましょう。

子宮頸がんは、性交渉やヒト・パピローマ・ウイルス(以下、HPV)と関係があります。性交によって子宮頸部に、男性器上のHPVが乗り移ると、一部の人では正常上皮が『子宮頸部上皮内病変1度』(CIN1)と呼ばれる状態に変化し、その一部が『同病変2度』(CIN2)に、さらにその一部が『同病変3度』(CIN3)に変化すると言われる。そしてCIN3は前がん状態であり、治療せずに放置すると、一部が『子宮頸がん』に発展すると。そこで、HPVが上皮細胞に感染するのを防げば、ひいて頸がん予防になるはずだ、というのです。具体的には、HPVに感染していない女性が“抗体”を持てばよい。抗体というのは、免疫細胞が産生するタンパクで、体内に侵入した細菌・ウイルス・毒素などが働かないように、それらに結合して無力化します。HPVの場合にも、頸部に抗体が常在していれば、男性器からのHPVと結合し、ウイルスを無力化することができる。しかし、HPVに感染していない女性には抗体がないので、HPV成分を用いたワクチンを打って、免疫細胞に抗体を産生させるようにするのです。




ところが、人に感染するHPVには100種類以上のタイプがあり、頸がん発生と関係が深いものだけで15種類前後になる。技術的にみて、その全部をワクチンに含めることができないので、16型と18型が選ばれました。海外では、子宮頸がん中に発見されるHPVの多くがこの2種だからです。製薬会社2社が『サーバリックス』と『ガーダシル』というワクチンを実用化し、定期接種に用いられています。どちらも、HPV16とHPV18を対象とするワクチンです。なお後者は、性行為感染症の一種『尖圭コンジローマ』(外陰部等にできるイボ)の予防用にHPV6とHPV11の成分も含んでいますが、この病変はがん化せず、頸がんとも無関係です。さて2つのワクチンは、どちらも開発段階で比較試験が行われています。大勢の女性たちを2つのグループに分け、片方にはワクチンを接種し、他方には『プラセボ』という偽りのワクチンを接種する試験です。その結果、両ワクチンとも、HPV16とHPV18の感染防止効果は100%近いと報告されています。ならば、子宮頸がんを防止できるのか。

実は頸がんワクチンには、子宮頸がんを減らしたという実績がありません。これは国が正式に認めていることです。というのも、定期接種化のための予防接種法の改正を審議する参議院の厚生労働委員会の席上、厚生労働省・矢島鉄也健康局長が「最終的に子宮頸がんを減らしたというエビデンス(根拠となるデータ)については、ございません」と答弁しているからです。こうした答弁があっても、厚生労働委員会は全会一致で改正案を原案どおり可決し、頸がんワクチンを定期接種化するように法律が改正されたのは不思議なことです。国会や厚生労働省の論理とデータを無視する態度は、議会制民主主義の否定ではないか。厚生労働省が認めている、両ワクチンの効能・効果にも問題があります。ワクチンを含め、薬剤は厚生労働省の審査を経て承認され、その内容は各薬剤の“添付文書”に書かれています。そこで両ワクチンの添付文書を見ると、“効能・効果”欄に「子宮頸癌…の予防」とあるのです。厚生労働省は子宮頸がんを減らすというエビデンスがないのを承知で、子宮頸がんを予防できるとして承認したわけです。この矛盾はいったい何なのか。

ただ両ワクチンは前述したように、HPV16とHPV18の感染防止効果があります。とすれば将来的に、子宮頸がんを予防できる可能性があるのではないか。――結論から言うと、それも難しい。第一の理由は、日本人女性における感染率の低さです。一般女性では、HPV16とHPV18の感染率が、両方あわせて0.7%しかないのです。第二には、たとえHPVに感染しても、90%以上が自然に排出され、かりに残りの10%が持続感染して子宮上皮がCIN1に変化したとしても、その90%が3年以内に消失します(理由1・2とも矢島氏の答弁による)。そうすると、がんの前段階であるとされるCIN2やCIN3へ移行するのを防止する必要が生じるケースは、千にひとつ以下になります。これでは、頸がんワクチンを接種する必要性はない。他方で、副作用は重篤です。失神・意識レベルの低下、アナフィラキシー(命にかかわる急性の免疫反応)、四肢や関節の痛み、筋力低下などが多数報告されている。それ以外にも、痙攣・不随意運動などの中枢神経障害や、記憶力や知能の低下といった高次脳機能障害も少なからず生じています。これら重要な副作用が見られた患者数は、難病治療研究振興財団の研究チームの分析では、1112人に上ります。ところが、厚生労働省の集計では176人と、6分の1でしかない。これほど落差があるのは、厚生労働省にこの問題を矮小化する意図があるのではないか。

次に検討すべきは、副作用の原因です。厚生労働省が組織した『副反応検討部会』の議事録によると、検討部会は注射部位の痛みに対する“心身の反応”が原因であるとし、ワクチン成分が原因ではないと結論づけようとしています。この点確かに、頸がんワクチンの疼痛は3種混合ワクチンなど他のワクチンと比べ激烈で、ワクチン成分に含まれている『アジュバント』のせいだと思われます。アジュバントとは『免疫増強剤』のことで、HPV成分を接種しただけでは抗体が十分に作られないため、アルミニウムなどをアジュバントとして加えて免疫細胞を活性化させるのです。アジュバントは他のワクチンにも含まれているのですが、頸がんワクチンでは特に強力なアジュバントが使われているため、疼痛も強いのでしょう。ただ副作用が、もし疼痛に対する反応であれば、ときの経過とともに軽快に向かうはずです。が、これまでのところ、中枢神経障害や高次脳機能障害に軽快傾向を見いだしがたい。では原因は何なのか。実は最近、副作用の原因としてアジュバント自体に目が向けられています。アジュバントを加えて免疫システムを活性化した結果、自分自身の体を作っているタンパクなどにも免疫システムが攻撃をしかけるようになり、副作用症状がでると言うのです。こうした症状は、関節リウマチなどと同様、『自己免疫疾患』に分類され、『アジュバントによって惹起された自己免疫症候群』(英語の頭文字から『ASIA』と呼ばれる)という呼び名がついています。また頸がんワクチンの副作用は、脳神経組織を攻撃するなどASIAの中でも独特なので、『HPVワクチンに随伴する神経障害症候群』(HANS)という名称が提案されています。が、これらはたんに『アジュバント病』と呼べば十分でしょう。

ではなぜ、厚生労働省や副反応検討部会は、自己免疫疾患やアジュバント病だと認めないのか。それどころか、検討部会では頸がんワクチンに使われているアルミニウムに関し、その量では中毒症状を起こさないとして、アジュバントが副作用の原因であることを否定しようとしています。しかし、自己免疫疾患はごく微量のアジュバントで惹起される点に特徴があり、大量投与でしか生じない“中毒”を引き合いにだして否定しようとするのは誤魔化しです。この論法からは、副作用問題を矮小化・限定化しようとする意図が見てとれます。彼らがこの問題を矮小化しようとするのは、他のワクチンとの関係からでしょう。というのも、近年新しいワクチンがつぎつぎと承認され、定期接種に格上げされており、その多くにアジュバントが使われているからです。ワクチンがどれほど多いか。いまの新生児は、半年あまりで定期接種10回、任意接種まですると15~16回、小学校入学までだと30回、インフルエンザワクチンを加えると40回を超えて打たれます。その結果、多くの子供たちがアジュバント病にかかり、将来、知性や理性に問題を抱えることになるでしょう。嗚呼。

なぜそれほど多くのワクチンが承認されてきたのか。製薬会社の将来戦略と関係があります。日本は人口減時代を迎え、子供の数も減少の一途なので、ワクチンメーカーが繁栄を続けようとすると、子供1人に打つ本数を増やす必要があるのです。しかし効用の点からみると、それらワクチンの全てが不要です。こういう業界事情があるときに、アジュバント病の存在が知られ、頸がんワクチン以外のワクチンにまで不要・有害論が広がることを、製薬会社を天下り先とする厚生労働省は恐れているのでしょう。では、副反応検討部会はなぜ恐れるのか。実は部会を構成する委員たちは、すべてワクチンの専門家です。彼らは、ワクチンが出回っている限り、専門家たりうるのです。しかもクスリ・ワクチン業界の常として、委員たちの利益相反行為にはひどいものがあります。利益相反行為とは、当事者の利害が対立している場合に、それら双方の代理人を兼ねて行動することを意味します。民事訴訟において、原告と被告の代理人を1人の弁護士が兼ねるのが典型です。

ではクスリやワクチンに関する利益相反行為とは何か。医者は広く国民一般の代理人として、その利益のために行動する義務がありますが、製薬会社から利益を得ている場合には、国民をないがしろにして製薬会社のために行動する可能性があるため、利益相反行為になるのです。これを副反応検討部会についてみると、10人の委員のうち8人が、頸がんワクチンメーカーの1社または2社から金銭を得ており、利益相反だらけです。お金について争う民事訴訟では、利益相反行為があれば訴訟行為は否も応もなく無効です。それなのに、人命がかかっている副作用審議が、利益相反のゆえに無効とされないのは、論理が転倒しています。が、これは序の口です。頸がんワクチンの承認用に実施された比較試験の論文を見ると、どれもこれも、業者欄に並ぶ専門家のほぼ全てが、製薬会社から金銭的利益を得ています。それどころかほぼ例外なく、製薬会社の社員が何人も著者欄に名を連ねている。これではデータ操作もやりたい放題でしょう。要するに、子宮頸がんの予防効果がなく、副作用の強い注射液を使って、製薬会社の社員を先頭に比較試験を行い、データの信用性を担保する方法もないまま、国がワクチンだと承認して被害を広げているのが、頸がんワクチン事件の真相です。同じ構図は、他のワクチンにもそのまま当てはまります。

では、子宮頸がんを予防するためにはどうするか。実は日本の子宮頸がんによる死亡率は、戦後ずっと下がり続け、欧米に先駆けて最低レベルになりました。死亡率はその後、横ばいです。ところが、最近検診を受ける女性が増え、頸がん発見数が激増しています。しかし頸がん死亡率は横ばいのまま。つまり子宮がん検診には、がん死を予防する効果はなく、頸がんのレッテルを貼って無駄な手術を増やす効果しかないのです。だとすれば子宮頸がん予防に最も効果的な手段は、子宮がん検診を受けないことです。今日、多くの患者は、検診によって頸がんにさせられているのです。


近藤誠(こんどう・まこと) 近藤誠がん研究所長・元慶應義塾大学医学部専任講師。1948年生まれ。1973年、同大学医学部卒。同年、同医学部放射線科入局。1979年より米国留学。その後、1983年より専任講師。がんの放射線治療を専門とし、乳房温存療法のパイオニアとして知られる。従来のがん治療に潜むタブーを告発した著書『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)が話題に。2012年、第60回菊池寛賞受賞。


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