【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(64) 今年のアメリカ大統領選は実に50年越しの“ゲイライツ”大勝利!

今回のアメリカ大統領選を見ていると、“ゲイライツ”(LGBT等性的少数者の権利)が如何にアメリカ社会に浸透しているかを実感します。保守的な共和党支持者でさえ、明らかなアンチゲイはキリスト教右派くらいしかいませんし、あれだけ人種差別的な発言を繰り返すドナルド・トランプも、LGBTについては明言を避ける傾向にあります。 アメリカのゲイライツの歴史。その道程は長く険しいものでした。1950年代・1960年代には、ゲイは社会的に“あってはならない存在”で、一般人がそれをカミングアウトすることなど夢の話。1970年代には小さなコミュニティーの中で漸く“息ができる”ようになったものの、ゲイを公言してカリフォルニア州サンフランシスコ市政委員となったハーヴェイ・ミルクが射殺される事件も起きています。

極一部で盛り上がるゲイライツ運動と、それに嫌悪感を示す大多数のアメリカ市民――。当時、中学生だった僕の周りでも、「お前はゲイだ!」「ゲイみたいなヤツだな!」という言葉は、最大の悔辱でした。1980年代になっても、共和党のレーガン政権は大票田のキリスト教右派を意識してゲイの存在を無視し、寧ろ社会の保守化が進行。先進的な若者の間ではゲイが“普通のこと”として認められ始めた一方で、HIVの感染拡大もあり、ゲイの社会的立場は中々向上しませんでした。一進一退ありながらも、公的にゲイライツが徐々に認められるようになったのは1990年代以降のことです(この辺りの経緯は本が1冊書けるほど複雑です)。そして、初めて大統領が公に同性婚を支持したのは2012年。初の黒人大統領として米社会のダイバーシティー(多様性)を体現したオバマの“決断”は大きなニュースとなりましたが、それから4年後の今回の大統領選では、最早LGBTの権利確立や同性婚は争点にすらならないほど“当たり前の話”になっています。今後のアメリカでは、たとえ共和党惨捕であってもダイバーシティーに配慮し、包摂的な社会を作ろうとする人しか大統領になれないでしょう。




アンチダイバーシティーの姿勢で民衆を煽るトランプは、確かに一部の人々を熱狂させ、共和党内の戦いでは一定の成功を収めました。しかし、同じ手法が11月の本選に通用する筈がありません。それがわかっているからこそ、トランプはここにきて“ダイバースな俺”をアピールし始めている訳です。ただ、あまりやり過ぎると“従来のお客さん”が離れてしまうので、これは元々、構造的に無理のある戦略。結局、最終的にトランプの息の根を止めるのはヒラリー・クリントンという民主党候補者ではなく、性別・人種・LGBT等、あらゆる権利を半世紀かけて拡大させてきたアメリカ社会のダイバーシティーそのものということになるのではないでしょうか。この話が今の日本人にどれだけピンとくるかどうかわかりませんが、 あらゆる“多様性の波”は近い将来、否応無く日本にもやって来ます。それを受け入れようという人もいれば、反発する人も出てくるでしょう。果たして、どちらが真面なのか? 今から準備をしておいたほうがいいと僕は心の底から思います。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年6月6日号掲載




スポンサーサイト

テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR