【儲かる農業】(15) JA解体までの猶予は5年…ラストチャンスの農協改革

『JAグループ』を束ねる『JA全中』の解体は、農協改革の序章に過ぎない。改革のゴールは、地域農協を農業振興という原点に回帰させることだ。それができない農協には、解体の道が待っている。

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昨年8月の農協法改正には、政府の明確なメッセージが込められている。それは、「今回の改革が、農協が“農業協同組合”として存続する為のラストチャンス。改革できなければ、信用事業や共済事業といった金融事業を分離する。つまり、JA解体もあり得る」というものだ。地域農協の改革は、上図のように3段階で進む。先ず、理事の入れ替えだ。理事の過半数を認定農業者や農産物販売等のプロにする。改正農協法には、農協が「農家に事業利用を強制してはならない」ことも明記された。これまで、組合員は農協を利用して当たり前という意識が染み付いていた。この第2のステッ プで、農産物の販売や生産資材の調達を全てJAグループを通じて行うべきという“全利用主義”の旧弊を葬り去る。改革のヤマ場は、第3のステップだ。農協が自らの取り組みとして、農家が求める農産物の販売力強化や生産資材の価格引き下げを行っているかを政府が見極める。多くの農協は、JA全農の肥料や農薬が割高でも、「同じJAグループだから」との理由で全農から買っていたが、今後は全農と他の調達先を比べ、最も有利なところから仕入れることが求められる。本誌の担い手農家アンケートでも、生産資材が高いことは農家の最大の経営課題に挙がった。政府が農協に与えた猫予は5年間。その間に、農協の本業である農業関連事業の改革が進まなければ、政府は“(非農家である)准組合員の事業利用への規制”を導入する構えだ。規制が行われると、非農家を対象とした住宅ローンの融資等ができなくなり、JAグループは収益源を失う。金融事業の分離も現実味を帯びる。これが、JA解体のシナリオである。アンケートでは、農協の現状に対する“支持率”だけでなく、将来の農協への“期待度”も聞いた(下図参照)。農家の売上高規模別に農協への期待度を分析すると、意外なことに、規模が大きい農家ほど農協への期待度が高く、“売上高3億円以上、5億円未満”の農家で期待度は50%に達した。農協が、大規模農家の高度なニーズに対応できれば、結果的に小規模農家へのサービスも改善する。農家に選ばれ、支持される農協になれるか――。農協改革は、JA存続のラストチャンスだ。

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「コメ農家はベンツに乗れない」――。農村には、儲けていることを大っぴらにできない雰囲気があります。このことが、「農業は儲からない」というイメージを助長してきた面は否めません。ところが、今回の取材でこんな話を聞きました。近々、“現代版の庄屋”が復活するというのです。「高齢農家が引退すると、1人の農業経営者が集落の全農地を任される。社長以外は、社員と外国人の技術実習生が通ってくるのみ」というイメージだそうです。そうなると、派手な消費を憚る必要はありません。ですが、新車を見せびらかすご近所はいない。祭りの参加者は社員だけというのも寂しい話。人口が減る農村が直面する課題です。 (本誌 千本木啓文)

農業担当の記者が、各都道府県の“農地集積バンク”に情報公開請求をしたのは、未だ残暑厳しい昨年8月末のことでした。ここで入手したのが、「農地を新たに借りたい」という人や、「規模の拡大を図りたい」という人の連絡先が記された計1万3450人のリスト。それを基に全員に手紙を送ったところ、存外の手応えがあり、1925人から回答を得ました。今回の特集は、ここから漸くスタートしました。先行きの不透明さや効率の悪さから、担当記者が幾度も壁にぶち当たったのは想像に難くありません。種を蒔いて収穫するまで、丹精込めて当たる他ない――。特集作りも農業も、その秘訣は同じだと改めて実感しました。 (本誌編集長 田中博) =おわり


キャプチャ  2016年2月6日号掲載




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テーマ : 農政
ジャンル : 政治・経済

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