【私のルールブック】(53) 隠し事は苦手な性分だった…

数年前に、とある少しだけ先輩のタレントさんから、「40過ぎとか言わないほうがいいぞ」と言われた。去年の暮れに、とある大分先輩の女優さんから、「自分のこと、おじさんとか言わないほうがいいわよ」と窘められた。どちらも、「役者なんだから」「テレビに出る仕事なんだから」「夢を売る商売なんだから」との理屈からの温かいご指導に違いないのだが、申し訳ないが、私は真逆の考えなのである。何故、老化を隠す必要があるのか? 確かに、エチケット程度に身だしなみは整える。それだけで数歳は若返る筈。しかし、それ以上隠すことは、自身の首を絞めることになりかねないというのが、私の考えなのです。いや、考えというか、拘りと言いますか、育ちかもしれない。

子役の頃、私の役柄は片親の息子の設定が多かった。父・母の何れかが存在せず、育ての母の許で成長した身。そこへ、産みの親が突然現れる!…みたいな。テレビドラマの影響力は絶大で、スタジオに向かう電車内でおばさんに顔バレし、「あら、あの可哀相な子じゃない」と言ってチョコレートを載いたり、席を譲ってもらったりしていた。非常に心苦しかった。何故ならば、あれは飽く迄もテレビドラマの中の出来事であり、確かに実生活の私も片親だったが、そこまで不遇という意識は持っていなかったからだ。“可哀相”や“良い子”の言葉を掛けられる度に、心のバランスが乱れた。「僕はそんなに良い子ではない」と…。結果、反発するようにやんちゃをしました。かなり無理をして不良振っていたと思います。そんな幼少期~思春期を過ごしたからか、隠すことに対して嫌悪感を覚えるようになったのかもしれません。恐らく、その過剰なまでの意識は今も尚、脈々と持ち続けていると思われる。とのことから、“老いを隠す”ことにも本能で抵抗を覚えてしまい、それは言動も然り、“嘘も方便”は百も承知と理解しながらも、本音で闘おうとしてしまう…49歳のおじさん。




私、かなり偏っているんです。グレーゾーンの意識に乏しい。「まぁまぁまぁ」が苦手。見て見ぬ振りができない。「だって、見ちゃったんだもん」という幼児性。でも、若しかしたら…そんな欠けた人間だったから、バラエティーの席にも座れちゃったのかもしれません。正直、話すのが得意とは言えないんです(最早、信じてもらえないかもしれませんが)。でも、無言や体裁で自分を守るぐらいなら出演すんなって話だし、口下手の癖に、お題によっては黙っていられない性格とでも申しましょうか、白黒ハッキリつけないと気が済まない男とでも言いましょうか…。それが収録ならまだしも、生放送でもスタンスが変わらないから、周りにご迷惑をかけてしまうことも屡々。いや、多々。ってことは、私って人間は抑々、見栄えで夢を売ることはできない性分なんですかね。だって、特に時代劇でありがちなんですが、60過ぎてんのに平気で30代の役をやったりしていますからね。私にはできません。だって、アップになっただけでお客様に違和感を与えてしまいますから。100%の正直は無理かもしれませんが、バリバリの中年であることは隠しませんよ!


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年6月2日号掲載

隠し事 [ 羽田圭介 ]
価格:594円(税込、送料無料)


隠し事ができません [ 海野幸 ]
価格:668円(税込、送料無料)




スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR