【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(65) 際ど過ぎるジョークに深遠なるメッセージを込めた“オバマショー”

「CPTで来てしまいました。すみません」――。4月末に開催された、毎年恒例のホワイトハウス記者晩餐会。今年が最後となるオバマ大統領は、開始時刻からやや遅れて登場すると、のっけから冒頭のフレーズで場内を沸かせました。CPTとは「Colored People's Time」の略で、「黒人は時間にルーズだ」という偏見に基づいた人種差別的な表現。黒人同士の会話で自虐ジョークとして使うのはアリですが、白人が黒人に対して使うのは“アウト”というスレスレの言葉です。折しもその約2週間前には、この言葉をニューヨーク市長(本人は白人だが妻は黒人)が口にして物議を醸したばかり。オバマはタイムリーな際どいジョークを、いきなりぶちかましてきた訳です。その瞬間、会場では先ず、黒人たちにバカ受けでした。一方、白人は一瞬フリーズし、「笑ってもいいんだよな?」と様子を窺いながら、恐る恐る笑っていました。

あの笑いには、黒人たちにとって、ある種の“解放感”が含まれています。嘗ては給仕や雑用係としてしか入れなかった場所に、今や大統領・報道デスク、或いはセレブとして“出席”している…。そのしみじみとした雰囲気を白人たちも感じ取ることで、二重三重にも生まれる感動。実に見事な“つかみ”です。そこからオバマは、あらゆる人物を弄り倒します。先ずは、“身内”である民主党の“大統領候補”バーニー・サンダースを「若手のホープ」と紹介(本当は74歳)。更に、欠席したヒラリー・クリントンにも、必死で若い有権者にアピールしている様子を「まるでフェイスブックに登録したばかりの親戚のおばさんみたい」と、ユーモアたっぷりに言及して笑いを取りました。自分(黒人ジョーク)・身内ときたら、次の標的は共和党です。オバマの支持率はここにきて上昇しているのですが、それについて「自分はずっと同じことしかやってないのに、何故支持率が上がるのかわからない」と話している最中に、会場のスクリーンには共和党大統領候補のドナルド・トランプとテッド・クルーズの顔写真を映し出す(「共和党の“質”が酷いから自分の支持率が上がった」という皮肉)。彼らを含む共和党候補たちが予備選で互いを貶し合っていることについても、「私は8年前、『政治議論のレベルを変えるべきだ』と言った。今思えば、どう変えるべきかまで具体的に言っておくべきだった」とバッサリです。




更には、弱体化する老舗メディアが“ウケるネタ”に傾倒してタブロイド化し、それがトランプ旋風を生んだという話を、実に巧みに、クレバーに、そして説得力を持って語ります。そして最後は、イラン当局にスパイ容疑をかけられて、今年1月まで拘束されていたジャーナリストを称え、メディアの役割や民主主義の重要性を訴えて、30分を超えるスピーチを終えました。会場がスタンディングオベーションに包まれたのは言うまでもありません。政治家にとって、言葉は最強の武器です。“弱い大統領”と批判されることの多いオバマですが、ユーモアと感動に溢れる彼のスピーチ力は本当に素晴らしい。できればもう4年…と言わず、“終身大統領”でいいくらいだと、僕は本気で思っています。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年6月13日号掲載

世界反米ジョ-ク集 [ 早坂隆 ]
価格:777円(税込、送料無料)





スポンサーサイト

テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR