【私のルールブック】(54) プライベートな会話がないからこその“恩人”

誰にでも恩人という存在がいる。その多くは、自分の成長を手助けしてくれた方だったり、教えを請うた人物のことを指すのだと思う。勿論、私にも恩人は存在する。そして、私の中での恩人は大きく2種類に分類される。1つは、直接的に手を差し伸べて下さった方。もう1つは、私が勝手に恩人と思っている方々である。上沼恵美子さん…言わずと知れた上方のドン的存在の方。お付き合いは、彼此15年近くになるのか。始まりは、私が離婚した直後のことでした。上沼さんの番組にゲストで呼んで頂き、予想通り、離婚のことを根掘り葉掘り訊かれました。未だバラエティーへの免疫も無い頃で、兎に角、上沼さんからの質問に正直に答えることしか考えておりませんでした。役目を果たせたとは到底思えない出来上がり。

ところが…。以来、事ある毎に声を掛けて頂き、何やかんやで15年近くでございます。そして何故、上沼さんが私が勝手に思い込んでいる恩人に分類されるかと言いますと、プライベートな会話を交わしたことが一切無いからです。ですから、何故声を掛けて頂いているかの答えを、私は未だに知りません。要するに、上沼さんとの関係において、私は“何故”だらけなのです。もう1人、私が勝手に思い込んでいる恩人。謂わば、“何故の方”がいます。それは、明石家さんまさん。さんまさんとは、30年ほどになるんでしょうか。芸人さんの中では、恐らく一番長いお付き合いと思われます。ですが、上沼さん同様“何故の方”ですから、付き合いといってもプライベートは一切含まれておりません。以前、収録中にさんまさんにこんなことを言った記憶があります。「どうしてご飯に連れて行ってくれないんですか? 後輩の芸人さんを行きつけの焼肉屋さんによく連れて行くそうじゃないですか。僕は未だにさんまさんの電話番号すら教えてもらっていませんよ!」と…。するとさんまさんは、「だって、忍ちゃんはそういうの苦手やろ?」と…。




早い話、全て見透かされているってことなんですよね。だって、「電話番号を教えてもらっていない」は間違いですから。「さんまさんの電話番号を知りたいなら、お前から訊きに行けよ」って話な訳です。素直に甘えに行ったら、受け止めてくれる方であることは間違いありませんから。ここら辺りが、私が歪んでいる部分なんでしょうね。私、上沼さんにもさんまさんにもかなり甘えているんです。「こんな自分ですけど、嫌じゃなかったらまた呼んで下さい」って…。心の中でね。一言も口に出していないんですけど、「私の拙い仕事振り、人間性を測って下さい」と…。結構な拾好つけのやり方だとは思いますが、私はお2人を勝手に目安にしちゃっているんだと思います。「このお2人に興味を失われたら、何かが足りないんだろうな」って…。私が勝手に思い込んでいる恩人たる所以でございます。怖いですけど、こんな甘え方ができる人も少ないですから。よって、勝手に感謝。何か勝手ばっかりだな。まぁ、後輩の立場ですしね。後輩だからこその勝手があってもいいんじゃないでしょうか。甘え方も、色々あっていいっしょ。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年6月9日号掲載

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