【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(71) 世界で猛威を振るう“愚民政治”に民主主義は勝てるのか?

イギリスの国民投票によるEU離脱の決定を受けて、“愚民政治”に関する議論が活発化しています。過激な言葉になりますが、はっきり言ってしまえば「“愚民”に正しい判断ができるのか?」という話です。“愚民”をもう少しきちんと説明すると、“衝動的に、あまり深く考えず重要な決定をしてしまう人々”ということになるでしょう。その中には、教育機会に恵まれなかった低収入の人もいれば、インテリで収入も高いけれど扇動に乗ってしまい易い人もいる。学歴や収入、階層を問わず、人は“愚民”になるのです。民主主義においては、強めで派手な意見を主張する人が大きな支持を得ることは、往々にしてあります。“愚民”は、わかり易いフレーズを叫んで、留飲を下げてくれるポピュリストを選ぶ。ポピュリストは複雑な筈の巨大な政策課題について、嘘も織り交ぜながら二者択一(戦争に賛成か反対か、原発に賛成か反対か、移民に賛成が反対か)を迫り、広告代理店のような手法で巧妙なプロパガンダを展開していく――。

こうしたフレームワークが横行すると、直ぐに結論に飛びつこうとしない“賢者”たる政治家は非常にやり辛い。一度リングができてしまえば、否応無く下世話な掴み合いや怒鳴り合いのスキルが求められますから。しかも、ポピュリストは先のことを考えていない。イギリスの国民投票後、EU離脱派のリーダーだった前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏は、次期保守党首選への不出馬を表明し、『イギリス独立党』のナイジェル・ファラージ党首も辞任…と“やり逃げ”のような結末となりました。アメリカ大統領候補のドナルド・トランプにしてもそうですが、彼らは長いスパンの未来ではなく、“破壊”や“解体”をゴールに設定しているのです。「彼らの台頭をテレビ等の“マスゴミ”が後押ししている」との批判も定番ですが、インターネットだけ使っている若者も容易に“愚民”となり得ます。アメリカ大統領選において、多くの若者やインテリがバーニー・サンダースに熱狂した結果、対抗馬のヒラリー・クリントンへの個人的な誹謗中傷が常態化したのも、ある意味で“愚民化”と言えるでしょう。




僕はふと、インターネットを駆使した政治活動で人々を先導し、『ジャスミン革命』に貢献したチュニジアの活動家であるスリム・アマモウ氏を思い出しました。革命の翌年、僕は来日したアマモウ氏にインタビューしたのですが、彼は「インターネットを使った直接民主制で全てを決定する」というユートピアを描いていました。しかし、革命後のチュニジアでは屡々テロが起き、重要な収入源だった観光客も減少。勿論、これで「革命は失敗だった」というのは早計ですが、彼の胸には今、どんな思いが去来しているでしょうか。イギリスやアメリカで“愚民政治”が猛威を振るう現状を受け、今後は各国のポピュリストたちが“国民投票”というカードを切り札のように使うかもしれない。また、それに対抗すべく“賢者による選民政治”という過激な主張が噴出してくる可能性もある。とはいえ、民主主義に代わる理想のシステムがあるとも思えず、結局は1人ひとりが“愚民”から脱する努力をすることでしか、社会は前に進めないのでしょう。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年7月25日号掲載
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