【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(72) “マス”“みんな”という幻を追うよりもやるべきことがある

「マスコミが黙殺する“真実”」「マスコミは何故報じないのか」――。選挙等の政治的トピックが盛り上がった時、インターネットやタブロイドメディアで必ず飛び交うのが、こういった類いのキーワードです。これに脊髄反射的に反応し、興奮してしまう人は気をつけたほうがいい…というのが今回のテーマです。大前提として、テレビ・新間・大手雑誌等の“マスメディア”が売り上げの面でも内容の面でも凋落しているのは間違いありません。原因は様々でしょうが、1つは現代社会において“マス”が消滅したことです。(実際はどうあれ)“単一民族”等と言われる日本人ですら価値観は多様化し、一丸となって「日本頑張れ!」と言えない。ウェットな思いを共有することは難しい。そんな中で、マスメディアは何とか“お客さん”の多いほうに寄っていき、本当はとても複雑な現実を紙芝居のように簡単なフォーマットに捻じ込んで報じる。それに慣れた視聴者や読者は、「もっと簡単に」「もっとズバッと」「もっと気持ちよく」と甘える。メディア側は「求められているから」と、また無責任に応じる…。そこには、両者の怠慢な共依存関係があります。

しかし一方で、そんなマスメディアを“マスゴミ”等と腐すのも、多くは非常に残念な人々です。フェイスブックやツイッター等でそういう人たちが喜々として拡散する“マスコミが報じない真実”は、大抵既に報じられている。或いは、報じる訳がないほどどうしようもない陰謀論だったりする。ちょっとした確認の手間も取らず、“マスゴミ”というファンタジーに依存している訳です。つい先日の参院選では、東京選挙区から立候補したミュージシャンの三宅洋平氏が“選挙フェス”で大群衆を集め、色々な意味で注目されました。彼は昔からユダヤ陰謀論・EM菌・ホメオパシー・サイエントロジー・反医療・反マスコミ等、数々のカルト紛いの言説を発信、或いは擁護してきた“陰謀論の総合商社”のような人物です。勿論、選挙で誰を支持しようが個人の自由ですけれども、彼に心酔した支持者たちが熱に浮かれて多くの出鱈目を検証しないのは、知的怠慢というしかありません。




また、ご本人がどこまで意識しているかはわかりませんが、兎に角情緒に訴えかける言葉、そして音楽や映像を織り交ぜた扇動方法は、彼が声高に批判する広告代理店やテレビ局が長年駆使してきたテクニックそのものです。彼はマスが消滅した現代社会で、“皆の連帯”という幻を叫ぶ。「俺についてくれば、暖かい炬燵のような一体感、婆ちゃんが作ってくれたおにぎりのような温もりがあるんだ」――。凋落しつつあるマスメディアに依存する人も、それを批判する扇動者に熱狂する人も、実は根っこはそれほど変わりません。今、本当に1人ひとりがやるべきなのは、何事にも依存することなく、独立した個人として自分の脳を使って物事を考えること。さもなければ、『イギリス独立党』や『フランス国民戦線』のような“狡猾なポピュリスト”が日本に出現した時、恐ろしい旋風が巻き起こってしまう…。そんな気がしてなりません。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年8月1日号掲載




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