【私のルールブック】(61) 人付き合いで悩んだ時は目先の用事を優先する

自分の身は自分で守るもの…当たり前のように聞こえるかもしれませんが、いざ実行するとなると中々難しいものである。例えるならば、先輩に突然、飲みに誘われたとする。しかし、明日は朝早くから仕事。早めに中座すれば問題はないが、中座するほうが失礼と思えなくもない。若い頃なら徹夜もありだが、私もいい歳のおっさんである。何より睡眠が大事だし…と、ここまで考えあぐねて初めて、「丁重にお断りしよう」との結論に至るのだ。こちらの原稿書きも然り。私の場合、執筆業は朝方に自宅で、若しくは仕事先の楽屋でとなる。移動中にテーマを思いつき、楽屋に入るなりパソコンを開く。ところが、番組によっては共演者さんたちからの挨拶訪問が隙間なく続いたりする。気持ちは原稿に向いているのに、引き攣った愛想笑いを振り撤いている…私。

だって、挨拶は大事ですから。仕事は挨拶から始まる訳ですから。でもね、私風情の楽屋に態々挨拶に来なくてもいいんです。どうせスタジオで会うんだから、その時で充分なんです…と自身に言い聞かせ、原稿を書きたい時はスタッフさんにお願いして、挨拶訪問をお断りしている次第。要は、どこまでいい顔をして、どこで線を引けばいいのかってことだと思うんです。だって限が無いから。勿論、駆け出しの頃はできる限りいい顔というか、色々なものを受け入れたほうが間違いなく得です。そういった作業を繰り返しながら、自分なりに選択・選別していけばいい。で、ある年齢に達した時に、徐々にシフトチェンジしていくのが理想なのではないかと…。ただ、言葉にするのは簡単ですが、これが中々厄介でして…。「ある年齢って、何歳からよ?」だったり、「徐々にって、どれぐらいの曲線を描いていけばいいのよ?」だったりね。正解があるようで無いだけに、決断し辛い訳ですよ。なので、私は30代半ば辺りから、目先のものを優先することにしました。目先のものとは? 「明日は朝が早いから」とか「今、書いておかないと〆切ギリギリになってしまうから」という、極々当たり前のこと。




これらを長期的視野に立って見てしまうと、「この先輩と次に会えるのはいつかわからないから」とか「最悪、ちょっとは〆切延ばせるし」みたいな、甘~い自分が出てきてしまう。で、しっかり後悔するというパターン。もうね、こういった後悔の繰り返しはしたくないんです。だって身体がもたないから。いい顔する為に寿命縮めるなんておかしな話だし、半世紀近くも生きてきていい人っていうのも気持ち悪い気がするのよね。それに、目先と言っても、目先の欲に目が弦んで…じゃない訳ですから。言うなれば、「責任の優先順位を誤らない!」とでも申しましょうか。「飲みに行くなら、やることやってから行けよ」ってことです。「最初っから〆切日は決まってんだから、守れないなら端から引き受けんなよ」ってね。まぁ、私の場合は抑々いい人顔ではないので、楽っていやぁ楽なんですが、それでも唯我独尊だけでは通らないのが仕事付き合いだったりする訳で…。でも、最終的には自分の身は自分で守らなければならないんです。優しい言葉をかけてくれる人はいても、守ってくれる訳ではないんですから。でしょ?


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年7月28日号掲載




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