【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(77) “集合知”という幻想に縋ったインターネット言論はバブル崩壊寸前!

7月の参院選では野党共闘も空しく自民党が圧勝し、続く東京都知事選でも野党統一候補が惨敗。思い返してみれば、2011年の“3.11”以降、ソーシャルメディア上ではリベラル左派の声が常に大きかったにも関わらず、現実の選挙では概ね逆の結果が出続けています。今まで声を上げられなかった“善良な市民”がツイッターやフェイスブックで意見を発信し、“皆の知恵”で世の中を変える…。そんな“集合知”なるものへの期待は、残念ながら幻想に過ぎなかったと認めざるを得ない時期にきています。僕も嘗ては、集合知による社会の変革を夢見ていました。特に、2010年末から始まった『アラブの春』の頃は、SNS革命という世界的ムーブメントがあり、中東から発信される生々しいツイートを日々、興奮しながら実況したものです。

しかし、日本では“3.11”の直後から、古臭い主張を繰り広げる左派がツイッターに跋扈し、反原発派の拙いレトリックや陰謀論が怒りの感情と共に大拡散された。そこで、僕は気付きました。「このツールは良いものでも悪いものでもない。只の“拡声装置”に過ぎないのだ」と。「権力者は悪で、集合知が一番正しいんだ」というのは一種のアナーキズムと言えると思いますが、考えてみれば、声を上げて集まるだけで簡単に原発を無くしたり、少子高齢化が解決したり、格差が解消するなんてことはあり得ません。勿論、そこで建設的な議論が起きることもあるにせよ、多くの場合は酷いデマすら排除されず、稚拙な思い込みや願望が仲間同士で共有されるに留まる。そして、そんな叶わぬ夢を「いつしか実現するのではないか」と人々が諸覚してしまう“偽薬効果”が蔓延する訳です。尤も、これは日本固有の現象ではありません。昨年秋に始まったアメリカ大統領選の候補者争いでも、民主党のバーニー・サンダース候補はSNS上で若い世代を中心に支持を伸ばしましたが、「金持ちの資産を再分配すれば世の中はよくなる」というような“0か100か”の世界観が現実世論の主流になることは無かった。結局、アラブの春が社会を変えたのは、飽く迄も“正しい問題設定”があったから。SNSは、それを加速させただけなのでしょう。




英語圏では最近、“SJW(Social Justice Warrior)”というスラングが流行しています。自分たちが考える“社会正義”の為にSNSで他人を攻撃し続け、却って世の中を窮屈にしている人たちを揶揄する呼称です。SNSという装置は今のところ、こうした“正義の暇人”に遊び場を与えているだけなのかもしれません(そう言ったら本人たちは激怒するでしょうが)。僕には、現在のインターネット言論の状況が、バブル崩壊前夜の日本に重なって見えます。既に馬却を現したインターネット上の有名人たちが、「これからはSNSだ、集合知だ」と最後にもう一稼ぎしようとしている――。また、これまでと逆に、狡猾な右派がこうした手法で“右バージョンのSEALDs”を登場させる可能性もあるでしょう。右か左かに関係なく、結局は1人ひとりが自分の頭で考え、模索するしかない。然もなければ、何れ誰かの“偽薬”を飲むことになるでしょう。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年9月12日号掲載
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