【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(78) ドナルド・トランプを筆頭に各国ポピュリストたちが“無知の枢軸”を結成!?

先日、アメリカ大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプの支持者集会で、ある“大物”が応援演説を行いました。イギリスの『ヨーロッパ連合(EU)』離説に主導的な役割を果たした『イギリス独立党(UKIP)』のナイジェル・ファラージュです。最近はトランプ陣営の劣勢が伝えられているだけに、事前の予想を覆してイギリスの国民投票に勝ったファラージュを呼ぶことで、「まだまだわからない。“まさか”は起こり得る」とアピールする狙いもあったのでしよう。気になるのは、欧米の“右派ポピュリスト”たちが連携するような動きを見せていることです。昨今のヨーロッパでは『フランス国民戦線』・『オランダ自由党』・『オーストリア自由党』といった極右政党が勢力を拡大し、民衆を煽りまくっています。その主義・主張はトランプと似た部分も多く、既にフランス国民戦線党首のマリーヌ・ルペン等は、はっきりとトランプ支持を表明。彼らは国境を超えて連携し、“悪の枢軸”ならぬ“無知の枢軸”を作ろうとしているのではないか――。そう思えてなりません。

ポピュリストの詭弁には共通点があります。それは、個々の小さな事例を過剰に一般化し、そして“巨悪化”すること。例えば、「ムスリムの移民が増えた→ムスリムがアメリカを乗っ取ろうとしている」とか、「EUへのイギリスの予算負担が大きい→EU官僚がイギリス国民の富を食い物にしている」といった具合です。まさに針小棒大ですが、こうして“火に油を注ぐ”やり方が、現状に不満を持つ人々によく響くのです。本来なら、そうした“衆愚化”にストップをかけ、バランスを取る役割を担うべき大手メディアもまた、深刻な機能不全に陥っています。例えば、テレビのニュース番組が社会のオピニオン形成を補助する為、啓蒙的な立場から複雑な話題を取り上げようとしても、その“お勉強の時間”が「退屈だ」と思われてしまえば、ビジネスが成り立たない。結局、“只管にエンタメ化する”という方向へと舵を切ってしまうのです。日本の場合は、ニュース番組に芸能人を出して視聴者の興味を惹こうとするケースが目立ちますが、海外でも方法論は違えど、ベクトルは総じて似たり寄ったり。こうして、“お客さま”に寄り添う報道姿勢が、結果として社会の衆愚化を加速させていることは否めません。




これに対し、「国営放送なり公営放送がもっと本質的な報道をガンガンやればいい」との意見もあるでしょう。勿論、一理ありますが、そうやって余計なものを削ぎ落とせば削ぎ落とす程、ニュースに興味を持つのは超インテリだけになり、大多数はスポーツやバラエティーしか見なくなるかもしれない。そうなると、益々ポピュリストにとって都合がよくなってしまう…。転がり始めた衆愚化を止めるのは、簡単なことではありません。情報を集めたり、ものを考えるツールは幾らでもあるのに、多くの人は一番安直な方向・簡単な結論へ流れる。メディアもそれを追いかける。そんな“知的怠慢”に扇動家が付け入る…。これは、100年前のファシズムの流行とは全く違う、新たなクライシスです。そして残念ながら、今のところ、現状を打破する処方箋は見つかっていません。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年9月19日号掲載




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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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