【私のルールブック】(69) 私のシフォン論(上)

ぷらっとカフェに入って、ランチを食べた時のこと。カフェよりも定食屋を好む私としては、メニューを見てもそそられず、適当に目についたハンバーガーセットを注文した。すると、「お飲み物はこちらから選べます」とウェイトレスさん。しかし、そこには生ビールが書かれていなかったので、「生ビール下さい」と私。「かしこまりました。で、こちらのお飲み物はどれになさいますか?」と、再びウェイトレスさん。はいはい、要するに、例えばアイスオーレが600円で、生ビールが650円だとして、50円の差額を払えばセットメニューに書かれていない飲み物でもOKですよ…というシステムではないということなんですよね。生ビールなんて書いてねぇんだから、「生ビールが飲みたきゃ別料金で払え」と。で、「生ビールで腹もタポタポだろうけど、セットには飲み物を付けてやるって言ってんだから、たとえ飲む気にならずとも、取り敢えず頼めよ」と、そういうことなんでしょう。

「真昼間から何の責任感も持たないガキに説教するのも疲れるだけだ」と思い直し、仕方なくアイスオーレを頼みました。すると、ウェイトレスさんが今度はデザートを選べと言う。はいはい、もう考えることすら億劫だったので、「シフォンケーキ」とぶっきらぼうに私。で、ここからが本題なのですが、このシフォンケーキを巡って一悶着ありまして…。ハンバーガーを頂きました。普通に美味しかったです。生ビールは一気に飲み干しました。これだけクソ暑いんですから、1杯ぐらい許して下さい。で、問題のシフォンケーキとアイスオーレがきました。生ビールの後にアイスオーレ等を飲む気になる筈もなく、忌々しげに水滴で微妙な光彩を放つグラスを見ていたら腹の虫が抑え切れなくなり、嫌味半分でウェイトレスさんに「テイクアウトできますか?」と訊いてみました。するとウェイトレスさんは、「申し訳ありませんが、シフォンケーキにはバニラアイスがトッピングされておりまして、テイクアウトとなりますと…」。どうやら、私とウェイトレスさんが…いや、私とこちらのカフェが心を通わせることは、一生を懸けても無い話なんでしょうね。




諦めた私が、シフォンケーキを食べずにお会計を済ませようと立ち上がったその時、隣の席から「シフォンケーキ、アイスが付いているんだって。いいな~」と女の子の声が…。すると、「ミクちゃんが頼んだオムライスはセットじゃないから、デザートは付いていないんだよ」とお母さん。途端、ミクちゃんの表情がみるみるうちに残念そうに曇っていくじゃありませんか。ですが、これでめでたしめでたしです。ほんと、世の中って巧くできていますよね。だって、これで漸く行き場を失っていたシフォンケーキの行先が決まった訳ですから。私は改めてウェイトレスさんに、努めて穏やかな口調で「僕のシフォンケーキ、ミクちゃんに食べてもらってもいいですかね?」と尋ねました。本来なら、「食べてもらって下さい」でもよかったのですが、「敢えて訊いてみる辺りが大人じゃ~ん!」と自画自賛。しかし、ウェイトレスさんから返ってきた言葉は何と…久しぶりに“to be continued”。坂上忍、怒りまくりました!


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年9月29日号掲載



スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR