【タブー全開!政界斬鉄剣】(52) 築地市場の豊洲移転問題には日本を蝕む大欠陥が潜んでいる

池田「今週は、豊洲の新市場移転問題を解説しましょう。実はこの問題、日本が抱える致命的な欠陥が浮き彫りとなった、象徴的な事例なのです」

――どういうこと?
池田「日本の地方自治体や中央官庁では、どんなに重要な政策や巨大事業でも、最終的に誰が決定したのかよくわからないんです。だから、後に何か問題が起きた場合、一体誰に責任があるのかが本当にわからない。この無責任体質こそ、日本を蝕む最悪の病気なのです」

――詳しく説明してもらおう。
池田「今、問題視されているのは、豊洲の建造物の下に、計画に無かった筈の地下空間があり、それが出来た経緯がよくわからないことと、その安全性です。更に、当初は990億円程度だった建設予算が、結局は3倍近い2752億円にまで膨らんでしまったことも問題でしょう。世間の関心は今後、『このような事態を招いた責任者は誰なんだ?』ということに移っていく。でも、この犯人捜しにゴールはありません。本当の責任者など、存在していないのですから」

――当時の石原都知事や都庁の整備部長とかじゃないの?
池田「皆さんは、『都庁が意図的に都合の悪い事実を隠している』と思っていませんか? 実は、役所に“組織的な隠蔽”をする理由など無く、逆に民間企業のほうが隠蔽体質が強いのです」

――そんなの信じられない!
池田「でしょうね(笑)。例えば民間企業の場合、大きな事業の失敗や不正の露呈は株価の暴落や倒産にも繋がるので、組織ぐるみの隠蔽が起き易い。最近では、三菱自動車が度重なる隠蔽工作をしていましたよね。しかし同時に、誰かがミスをして失脚すれば、代わりに誰かが出世できる側面もある訳で、内部告発が生まれ易い土壌もあるのです。一方の官公庁では、どんなに失敗をしても倒産しないので、採算や効率等を気にする習慣が無い。だから、組織的な隠蔽をする必要もない。しかも出世が年功序列なので、他人を蹴落とす必要も無く、誰かの不正を内部の人間が指摘する土壌が無い。公務員たちは、役所全体や部署毎に強固な仲間意識を持っていて、暗黙の了解でお互いを守り合っているだけなのです」




――とはいえ、管理職である局長や市場長が責任者なのでは?
池田「形式上はそうですが、実態は違う。具体的に様々な作業・調査・調整を行うのは、局長ではなく課長や係長以下の人たちです。局長は、部下が上げてきたプランを何も精査せずに了承するだけ。役人の幹部は、事業効率や安全性より、部下の提案にイチャモンをつけて仲間意識がギクシャクすることを恐れるのです。上司には従い、部下は信じる。だから、部下のプランを信じ、それをそのまま上司である知事や副知事に上げる。これが本当の実態です」

――じゃあ、誰に責任を取らせればいいの?
池田「最悪なことに、明治時代以降の日本では、何か大問題が起きても、役人は誰一人として責任を取りません。その代わり、何も知らずに了承してしまったトップ、つまり知事・市町村長・大臣等の政治家に責任を取らせて、世間を納得させることが当たり前になっている」

――今回のケースでは?
池田「豊洲新市場問題の真犯人は、当時、“新市場整備部”に在籍していた全員ということになるでしょう。しかし、全員の処分など不可能。恐らく、石原元都知事をバッシングさせて終わらせるのではないでしょうか。これって、75年前にアメリカとの無謀な戦争に突入させたのは誰なのか、どれだけ議論を尽くしても結論が出ない問題と同じ構造なんです。顔の見えない役人たちが、“皆で”国家の方向性を決定し、失敗したら責任の所在を有耶無耶にしてしまう。この無責任体質を改めない限り、最終的に損をするのは我々国民なのです」


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官・政治評論家・『池田和隆国家基本戦略研究会』代表・一般社団法人『社会基盤省エネルギー化推進協会』主席研究員。1967年、熊本県生まれ。法政大学在籍中に松岡利勝氏(農林水産大臣・故人)の私設秘書。公設第2秘書・政策担当秘書・農林水産大臣秘書官を経て現職。


キャプチャ  2016年10月10日号掲載



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