【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(81) “ありのままで”差別を煽り、ドナルド・トランプと共闘する“危険なオカマ野郎”の正体

“The Dangerous Faggot Tour(危険なオカマ野郎ツアー)”――。こんな奇妙な看板を掲げ、アメリカ各地を演説行脚する人物が最近、注目を集めています。名前はマイロ・ヤノポロス。端正な顔立ちと整ったヘアスタイル、ハイファッションに身を包む31歳のイギリス出身ジャーナリストは、口を開けばミソジニー(女性蔑視)・人種差別のオンパレード。「多様な社会ではあらゆる人に配慮すべきだ」というポリティカルコレクトネス(ポリコレ)の考え方に真っ向から異を唱え、雄弁に差別を語るゲイの論客は、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプを支持するインターネット発の極右ムーブメント“Alt-right”のスターとして、一部の白人若年層を熱狂させています。

彼の名が知られ始めたのは、約2年前の所謂“ゲーマーゲート事件”。ゲーム内における女性差別の風潮を批判した女性ゲーム開発者や女性批評家が、男性ゲーマーから徹底的に糾弾され、個人情報をインターネット上に曝される事態に発展した騒動です。この時、多くのネットユーザーを煽り立て、炎上劇を拡大させたのがマイロでした。マイロは今年7月にも、映画『ゴーストバスターズ』(SPE)最新作に主演した黒人女優への誹謗中傷を扇動し、ツイッターを使用禁止になる事件を起こしました。彼は集団行動に快楽原則を与え、炎上案件に油を注ぐことで知名度を上げてきたのです。この稀代の“煽り屋”は今や、右派のインターネットメディア『ブライトバートニュース』のテックライターとして、トランプと共闘するに至りました。マイロは頭の回転が速く、兎に角、弁が立ちます。黒人差別を口にする一方で、「差別はしない。僕がセックスする相手は黒人の男ばかりだ」と言い、民族差別をしつつも、「自分の祖父はユダヤ系。ネオナチは僕を殺したいだろうね」と笑う。ゲイやユダヤ系という自らの“被差別属性”をチラつかせ、弱みを曝け出しながら別の差別を焚き付ける…。言うなれば“模範的マイノリティー”として、人々の差別意識にある種の正当性を与えるのです。




彼を熱狂的に支持する層は、白人の大学生だと言われます。では、彼らは単なるバカな差別主義者なのかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません。例えば、あるテレビ番組で女性司会者に「憲法の理念を捻じ曲げ、女性や非白人の人権を軽視している」と問い詰められた際、マイロはこう切り返しています。「私は、憲法で認められている表現の自由を守っているだけ。何故、フェミニスムや有色人種に対しては憲法の適用範囲が違うんですか?」。詭弁であるとはいえ、その言葉には一定の真理も含まれている。行き過ぎたポリコレにうんざりする多感な若者たちは、そこに揺さぶられるのでしょう。地頭はいいけれど社会経験が少ない若者が、コロッとカルトに入信してしまうようなものです。公民権運動やフェミニズム運動等で苦しみながらも、多様な社会を実現してきたアメリカで、反動的に生まれたモンスターがマイロです。“ありのままで”ヘイトを口にする解放感に熱狂する若者たちは、その先に多様性の否定という“民主主義の終わり”しかないことをいつか理解するのでしょうか。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年10月17日号掲載



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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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