【私のルールブック】(72) 残りの人生の選択に悩むのも、“欲望”の表れのひとつ

そろそろ今年が終わる。気が早過ぎですかね? いやいや、この時期になったら終わりも同然です。それにしても、1年があっと言う間だな。年々加速が増す感じで、スピードについて行くのが精一杯。そうなってくると、天邪鬼な私は立ち止まりたくなってしまう。だって、このままのスピードで仕事を続けていったら、「ほげっ」って言っている間に還暦ですからね。それは嫌なんだよな~。じゃあどうすりゃいいんだってことになるんですが、代案が見つからないから困っちゃう。リタイアして蕎麦でも打つか? いやいや、お蕎麦は食べる物です。事業に手を出して一発狙ってみるか? 商才なんて微塵もありません。では、いっそのことギャンブル三昧の余生を過ごすのか? 一瞬でおけらになって、「仕事下さい」って泣きついているに決まっています。ね、代わりのものが無いんですよ。だって趣味が無いんだから。

でもね、飽く迄も趣味は限られた範囲の中で楽しむものですから、仕事と比較できるものではない。況してや、我々は少なからず仕事にやりがいを持ててしまっている訳で、趣味にまで手が伸びない人がいても頷ける職業。要するに、贅沢な悩みなんですよ。とはいえ、人間は欲深い生き物ですから、「あれが欲しい!」や「もっと偉くなりたい!」といったわかり易い欲だけでなく、残りの人生の選択に迷うということも、若しかしたら欲の表れなのかもしれません。だって、こんな49年間になるとは思っていませんでしたから。小学生の頃の予定では、プロ野球選手になっていた筈なんです。なれていたとしたら、今頃はコーチか監督ってこともあり得る訳で、日本シリーズで優勝して選手の皆さんに胴上げされちゃったりして…。まぁ、1度も1軍に上がれず引退という可能性が高いかな。いや、恐らくそうなっていたことでしょう。10代の終わりの頃の予定では、イギリスに住んでいた筈なんですよね。バンドを組んでいたので、音楽で一発当てるか、「カメラマンもいいな~」なんて…。まぁ、その前にちゃんと英語を勉強しとけよってことなんです。片言過ぎてお話にもなりませんでしたから。




20代の半ば頃は、役者を辞めて物書きに専念するつもりでいました。メディアに露出することにどこか疲れてしまい、元々目立つのが嫌いな性質だったことも手伝い、「誰の目にも触れないところで自分の好きなものだけを書き続けて飯が食えないかな~」と…。こちらに限って言えば、可能性はゼロではなかったと思います。ただ、書けば書くほど書き続けることの大変さを痛感し、且つ、お金を生むまでにとんでもなく長い道程を要することに気付き、楽をする→役者を続けることを選んだ不届き者です。結局、やりたいこととやれていることが数ミリもズレることなく叶っている人っているのかな。イチロー選手? いやいや、彼だってmm単位、若しかしたら㎝単位でズレている可能性のほうが高い。プロ野球選手→メジャーリーガーという夢は果たせても、本人にしか感じ得ないズレがあったからこそ、現役生活を長く続けていられるような気がする。やはり、何かを続けるのが大事ってことなんですかね。でも、「若い頃ならまだしも…」とどこかで思ってしまうのよね~。迷える中年のおじさんは、今回はこんな感じです。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年10月20日号掲載



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