【私のルールブック】(74) 最悪の初対面は長い付き合いのきっかけにもなる

先日、私がレギュラー出演させて頂いているとある番組のアシスタントプロデューサーさんが、「番組から外れることになった」との報告を受けた。経緯はさて置き、そこそこ長いお付き合いだったので、当然のことだが寂しい想いがした。思い起こせば、彼との付き合いの始まりは、私の激ギレ事件からだった。某ホテルでロケが行われる日、私はいつも通り集合時間よりも早めに現場に着いた。すると、待ち構えていた彼の助手である女性スタッフさんが「ホテルのロビーでお待ち下さい」と言うので、言われるがままロビーの椅子にチョコンと座っていたのだが、待てど暮らせどお呼びがかからない。しかも、ロビーは結婚式のお客様で大賑わいときており、既に私の怒りに火が点いていたのである。

と、遠くから問題の彼が颯爽と歩いて来た。一丁前のプロデューサー面して颯爽と、である。で、「大変申し訳ありませんでした」と来るのかと思いきや、「すんませんした」と、まぁ軽い軽い。因みに、この“すんませんした”は脱字ではない。“すみませんでした”の“で”が完全に抜けていたのである。人を待たせておきながら颯爽と登場する姿に“すんませんした”が重なり、私の怒りは一気に沸点に達した。はい、その場で激ギレです。「人を待たせておいて、しかもこんな場所で晒し者にしておいて、その口の利き方は何だ!」と…。続けて、上司の方を呼んで頂きました。部下のミスは上司の責任ですから。「どういう教育をしているんだ」って話ですから。ただ、これだけははっきり言っておきます。私はしょっちゅう怒っているイメージがあるようですが、ここまで怒ることは珍しいんです。正直、帰ることも辞さない覚悟で吠えましたから。とはいえ、帰っちゃいけません。私1人の事情で、何十人ものスタッフさんやキャストさんに迷惑をかける訳にはいかない。はい、ちゃんとやるべきことはやって現場を後にしました。




という訳で、私と彼の出会いは最悪なものだったのですが、おかげ様で、私にありがちなパターンでして、一悶着あった相手ほど逆に長い付き合いになるといいますか、仲が深まるといいますか…。だからこそ、彼が番組から外れると聞いた時、色々なことを思い出し、「寂しいな~」ってね。ただ、気がつけば彼は結構なタフガイに育っておりまして、番組から外れるに伴い疎遠になるかと思いきや、ある日、私の元に別の番組の企画書を持ってきたのです。「絶対面白いと思うんで、やって頂けませんか!」と…。何かね、すっごく嬉しかったんですよ。おたんこなすなアシスタントプロデューサーだった彼が、まさにいっぱしのプロデューサーになっていた訳ですから。即答でお引き受けさせて頂きました。そりゃあ、やるしかないっしょ。ただ、マネージャーさんからは叱られてしまいました。「で、そのスケジュール、どこにあるんですか?」と…。それはそうですよね。だって、1つのお仕事を引き受けるということは、その分のスケジュールを用意しなければいけないということですから。まぁ、何とかなるっしょ。だって、こんな気持ちのいいオファーは中々無いですから。何よりも、それが一番だから。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年11月3日号掲載



スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR