【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(86) アメリカ大統領選直前! ドナルド・ドランプは何を敵に回してしまったか?

先日、アメリカのあるフェミニストのライターが『Thank You, Donald Trump』という記事を書きました。「ドナルド・トランプの数々の発言のおかげで、今まで興味を持たれなかったものが、今や最も重要なイシューになった」と。愈々大詰めのアメリカ大統領選。蓋を開けてみるまで結果はわかりませんが、選挙戦後半でヒラリー・クリントンの大幅リードが伝えられるようになったのは、言うまでもなく、トランプの“女性に対する言動”が大きな引き金でした。“misogyny(女性蔑視)”という、これまでは学術用語やフェミニズム界隈の用語でしかなかった言葉が、連日メディアを賑わせたのですから。トランプは未だ共和党内で“泡沫候補”と言われていた当初から、対立候補に対する人格攻撃、そして“属性攻撃”で勝ち上がってきました。ムスリム攻撃や人種差別的な発言も、そこに対して弱腰だとされる共和党内の対抗馬を追い落とす為の手段だった訳です。

そんなトランプが、最後にあそこまでミソジニーに振り切れたのは、目の前にいる敵が“初の女性大統領候補”という属性を持つヒラリーだったからに他なりません。彼女を撃ち落とそうとするあまり、まるで単語帳やウィキペディアから適当な言葉をコピペして投げつけるように、“女性”という属性を丸ごと小馬鹿にしたのです。しかも、過去のセクハラ発言の録音音源が出てきたり、複数の女性からセクハラ疑惑を告発されても、早々に謝罪することもなく、寧ろ自分を告発した女性を恫喝するような発言まで…。彼にとっては常套手段でも、踏んだ地雷が大き過ぎた。他の差別は詭弁を弄して言い訳できても、ミソジニーだけは大多数が拒絶反応を示しました。アメリカで女性の参政権が認められたのは1920年。それから一進一退を繰り返しつつ、女性差別は表面的には解消されてきましたが、まだまだ根強い差別意識が一部の白人男性の中に残っています。トランプと彼の支持者は、それを図らずも露呈した。その残滓を一掃しないと大変なことになる――。そんな一体感が、選挙戦終盤にアメリカ国民の間で生まれた気がします。




第3回テレビ討論会にヒラリーは白いスーツ姿で臨みましたが、あれは約100年前に女性の権利拡大を求め、全身白の服装で闘った活動家たちを想起させたかったのでしょう。ある調査によれば、「どんなことがあってもトランプを支持する」という“トランプ信者”は、全米で約2500万人いるそうです。アメリカの有権者数は約2億3000万人ですから、ざっと1割強。残りの9割近い有権者の多くは、たとえヒラリーを支持せずとも、トランプが体現する“多様性の否定”に諸手を挙げて賛成することは、恐らく無いでしょう。順当にヒラリーが大統領になれば、女性だけでなく、非白人・ムスリム・障害者・ゲイ等、様々なマイノリティーの権利を尊重しようという動きが加速する筈です。但し、アメリカ社会の分断という“パンドラの箱”を開けてしまったトランプは、若し大統領選に敗れても、このまま没落するとは限りません。この辺りは、また追って予測してみたいと思います。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年11月21日号掲載



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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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