【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(88) カリフォルニア解禁で大麻産業に“グリーンラッシュ”がやって来る?

“トランプショック”が大き過ぎてあまり目立ちませんでしたが、先日のアメリカ大統領選と同時に、9つの州で大麻合法化の是非を問う住民投票が行われました。その結果、新たにカリフォルニア、ネバダ、マサチューセッツの3州で大麻の嗜好品使用、フロリダ等4州で医療用使用が解禁されることになりました。これで、全州の過半数を超える28州とワシントンD.C.が医療用を、8州が嗜好用を認めたことになります。今も連邦法では大麻使用は禁止されていますが、“各州の意思”が強く尊重されるアメリカ特有の事情もあり、大麻解禁の流れは止まりそうにありません。“モラルマジョリティー”やキリスト教右派が力を持っていた嘗てのアメリカ社会では、大麻は当然のように忌避されていました。しかし近年、特に2000年代以降は、まさに現実的な問題として議論の俎上に上っています。

実際の意識調査の結果を見ても、高齢層を中心に今も大麻を潔癖に嫌う人がいる一方で、「大麻程度のドラッグは許容すべきだ。経験によって学べる適度な用量・用法を守れば問題ない」と考える人も多く、全米の過半数の人々が嗜好用大麻を容認しています。これは、アメリカの大麻解禁派の巧みなロビー活動の賜物でもありますが、医療用にせよ嗜好用にせよ、先行解禁した州で税収アップや、警察・刑務所の負担軽減といった便益が実証されたことも追い風となっているでしよう。そんな中で今回、カリフォルニア州が嗜好用大麻の解禁を決めたことは大きな意味を持ちます。全米最大の経済規模を誇る同州の昨年の州内総生産は、フランス、イタリア、カナダ等のGDPを超え、国家と並べてランク付けしても世界第6位。議員数も圧倒的に多く、波及力の大きさは、これまでの“解禁州”とは比べものになりません。また、今回の一連の住民投票で、アメリカ西海岸に“マリファナベルト”が出来上がったことにも注目です。西海岸では大麻関連のスタートアップが熱を帯びており、今後はゴールドラッシュならぬ“グリーンラッシュ”が起こると予想されていますが、ビジネス上の最大のネックは、大麻の使用が連邦法で禁じられていること。その為、貸し渋りをする銀行もあるようで、(来春から嗜好用大麻が解禁される)カナダに拠点を移すスタートアップもあるといいます。




今後、数年で1兆円を超えるとも言われる大麻の巨大市場を、ビジネスマンのドナルド・トランプ新大統領が指を咥えて見ているとは考え難い。また、今回の選挙では、上下院共に大麻解禁に慎重な共和党が多数派を維持しましたが、カリフォルニアを始めとする解禁州で選出された議員たちは、州民の意に反する行動を取り続ける訳にはいきません。経済学的な力学が強く働くことで、近い将来、連邦法改正の動きが活発化するのは必至でしょう。大麻解禁はアメリカに限らず、欧米各国で進んでいます。この世界的な大波は、日本の“ダメ、ゼッタイ”等というちっぽけな防波堤を一瞬にして呑み込んでしまうでしょう。その時、いきなり来た“黒船”に慌てふためくのか? それとも、予め心構えを持っておくか? そろそろ現実を見る時ではないでしょうか。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年12月5日号掲載



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