【タブー全開!政界斬鉄剣】(61) “占い師”が国政を動かす隣国を笑えない日本の意思決定システム

池田「今週は、自民党農林部の小泉進次郎会長が苦戦中の農業改革に関するお話をしましょう。とはいえ、農業改革そのものではありません。私が取り上げたいのは、農業改革を主導している規制改革推進会議という、総理大臣が内閣府に設置した審議会についてです」

――審議会に問題があるの?
池田「大ありです。審議会制度とは所謂有識者会議の頂点に立つような存在で、政治と行政の“無責任体質”を象徴する制度です。豊洲新市場問題で東京都庁の“体質”が明らかになったように、役人たちによる重要な意思決定のプロセスと責任の所在を、意図的に不明瞭化させる為のシステムなのです」

――有識者会議には、財界人・学者・専門家らが集められる。正しい結論を出せないの?
池田「有識者といっても、政治に関しては素人です。その素人集団が、国の命運を左右するような案件を議論する。しかも、審議といっても平均して2時間くらいの会議を10回程度やるだけ。更に、その議論の土台となる資料は、“事務局”と称する官僚側が全て用意する。つまり、役所が望む結論に誘導されている訳です。そして、その政策が失敗した場合に備え、有識者が決めた体にして、役人の責任を回避しているだけなのです」

――最悪な仕組みだ…。
池田「この制度が日本を蝕み始めたのは、1996年、橋本龍太郎政権時代に設置された行政改革会議と経済審議会からです。行政改革会議が目指したのは行政のスリム化だったのに、役人の数は全く減らなかった。経済審議会が主導したのは金融ビッグバンでした。その結末は、皆さんご存知の通り、世界屈指だった日本の金融経済を脆弱な地位にまで失墜させてしまった」

――碌なもんじゃないな。
池田「小泉純一郎政権時に設置された経済財政諮問会議も最悪でした。労働者派遣制度の大幅な規制緩和により、終身雇用制が完全に崩壊。結果、ワーキングプア層が大量に発生した。更に、税金を1円も使うことなく機能していた超優秀な郵便局制度も廃止してしまった」




――安倍政権ではどうなの?
池田「安倍さんは、2013年に規制改革推進会議という審議会を設置しました。この審議会が提言した農業改革案に対し、小泉進次郎氏が部会長を務める農林部会の議員たちが猛反発して揉めているのです。農業改革案の中身は、どう転んでも日本の農業に好影響は与えません。それよりも重要なのは、『国の行く末を左右するような重大テーマを、一体誰が決めているのか?』という部分なのです」

――財界人や学者という政治の素人集団と、その背後から結論を誘導する役人たちか…。
池田「そう。しかも有識者の人選も役人がやるので、まさに役所の意のままです。国家の重要な意思決定を、選挙で選ばれた訳ではない連中が行っている。国の主権者は国民です。絶対に国民が選んだ政治家が決めなければならない。なのに、この国の殆ど全ての意思決定を、実質的に中央官庁や地方の役所の役人が行っている。決して責任を追及されない人間たちによって、根本的な政策が決められているんです。民意なんて反映される訳がない。お隣の国で“占い師”のおばちゃんが国政に関与して大騒ぎになっている不幸を、我々は決して笑えない立場なのです」

――確かにそうかも…。
池田「豊洲新市場問題の承認責任者は石原慎太郎元都知事です。愚かな審議会制度から出た案を最終的に採用したのは、橋本龍太郎と小泉純一郎両元首相でした。この3人の共通点は、『国民からの人気が非常に高かった』ということ。小泉進次郎氏もまた、大変な人気者です。彼が旧態依然とした党内調整に終始するのか、真の政治家として審議会制度そのものに斬り込めるのか。農業改革への取り組み方に、是非注目してみて下さい」


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官・政治評論家・『池田和隆国家基本戦略研究会』代表・一般社団法人『社会基盤省エネルギー化推進協会』主席研究員。1967年、熊本県生まれ。法政大学在籍中に松岡利勝氏(農林水産大臣・故人)の私設秘書。公設第2秘書・政策担当秘書・農林水産大臣秘書官を経て現職。


キャプチャ  2016年12月12日号掲載



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