【タブー全開!政界斬鉄剣】(62) “アスリートファースト”という発想が間違いの始まりだ!

池田「今週は、東京オリンピックの会場問題について解説します。結局、バレーボールの会場以外は、ほぼ原案のままという決着でしたね。勿論、コストを圧縮できたことは一定の成果ですが、多くの東京都民と日本人は、『このドタバタ劇は一体何だったんだろう?』という感想を持ったのではないでしょうか」

――勝負の分かれ目はどこだったんだろう?
池田「オリンピックの問題に関ししては、スタート地点から間違っていたと思います。小池百合子知事は、“都民ファースト”というスローガンを掲げて都知事選で圧勝しました。都知事が都民を第一に考えて行動するという宣言は、至極当然のことです。しかし、その小池さんが、オリンピックの話になると“アスリートファースト”と言い出したのです。これこそが間違いの始まりなのです」

――どこが間違っているの?
池田「近代オリンピックは、古代ギリシャのオリンピア競技をモチーフにしています。古代ギリシャ時代は、国の規模が都市国家単位だったので、現在も都市開催という建前になっている。でも実際には、オリンピックは国家的なイベントです。民主主義国家で行われる国家行事は、絶対に“国民ファースト”である必要がある。たった数週間の大会で競技をする、日本国民全体の0.5%にも満たない人数のアスリートが主役という考え方そのものが大間違いなのです」

――そう言われてみると…。
池田「開催地の代表者である小池さんがそんな言動なので、マスコミも勘違いしてしまった。極めて競技人口の少ない種目の選手たちが『立派な施設でやりたい!』と訴える姿を、彼らは大々的に報じ続けた。その影響で、視聴者である国民たちは、何百億円もの競技場を『税金で整備しろ』と要求するアスリートや競技団体の言い分が『正当なものなのだ』と勘違いしてしまうようになったのです」




――そんな空気も感じるね。
池田「挙げ句の果てに、国際オリンピック委員会(IOC)やオリンピック組織委員会等という、国や東京都の税金の使い道を1円たりとも決める権利の無い組織にまで口を出され、国民や都民は振り回された訳です。たった数週間のイベントの為に、開催都市や国が負担する数兆円もの費用は、オリンピック終了後に競技者たちが払う施設利用料等で到底回収できるような額ではない。歴代の開催都市は皆、レガシーという名の“負の遺産”の扱いに苦労しているのです」

――何か段々腹が立ってきたぞ!(怒)
池田「この国では、選挙を経ていない一部の人間が、責任も取らない癖に重要な意思決定を行っています。東京でも国家の中枢でも、あらゆるレベルで同じことが起きている。民主主義とは“決める人を皆で選ぶ”システムであって、決して“皆で決める”システムではありません。今回のオリンピック問題や豊洲新市場の問題は、この国が抱える構造的な欠陥を日本人全体が認識して、それを克服できる絶好のチャンスでもあったのです」

――小池さんはどう立ち回ればよかったのだろうか?
池田「小池さんは東京都民から圧倒的な信任を受けたのだから、何でもできる強い立場なんです。例えば、「交渉の結果次第では、オリンピックの開催権を返上したって構わない」と、IOCやオリンピック組織委員会を恫喝するくらいの強い態度に出ることだって可能だった。そうすれば、会場問題でも都民ファーストを達成できたでしょう。豊洲の新市場も、顔の見えない連中の決定で生まれた不良品です。若し、小池さんが6000億円もの事業費を無駄にしてでも、白紙に戻す前例を作れれば、日本の意思決定システムに風穴が開くでしょう。本当の意味で国民ファーストを実現できるシステムこそ、今の日本には必要なのです」


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官・政治評論家・『池田和隆国家基本戦略研究会』代表・一般社団法人『社会基盤省エネルギー化推進協会』主席研究員。1967年、熊本県生まれ。法政大学在籍中に松岡利勝氏(農林水産大臣・故人)の私設秘書。公設第2秘書・政策担当秘書・農林水産大臣秘書官を経て現職。


キャプチャ  2016年12月19日号掲載



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テーマ : 東京五輪
ジャンル : 政治・経済

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