【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(91) “デマニュースの波”から日本と自分を守る為に必要な心構えは?

一昔前の時代は、良くも悪くもマスメディアが言論を支配していました。過激で偏った言説は、大新聞のデスクやテレビ局のディレクターの“倫理感”によって検閲され、「報道するに値しない」として葬られるか、少なくとも“注釈付き”でしか世に出ることはありませんでした。ところが、インターネットが普及し、有象無象のインターネットメディアやSNS上の“インターネット世論”が力を持つにつれ、状況は一変。相対的に力の落ちたマスメディアはその責任を放棄し、引きずられるように“客が喜ぶ派手なネタ”を形振り構わず提供するようになりました。その結果、今年のアメリカ大統領選では、国家や政党からカルト系団体まで、マスメディアから個人まで、あらゆるプレイヤーが“情報戦”に参加。果ては、全く関係のないヨーロッパの小国・マケドニアに住む青年たちまでも、小遣い稼ぎの為に大統領選関連のデマニュースを配信していたのです。こうしてウェポナイズ(兵器化)された偽情報は、アメリカという国をあっという間に呑み込んでいきました。

その象徴とも言えるのが、ドナルド・トランプ新政権の主席戦略官・上級顧問に就任するスティーブ・バノン氏。彼は保守系ニュースサイト『ブライトバートニュース』の元会長ですが、ニュースといっても相当に偏った主張やデマ交じりの言説で、トランプを強力にプッシュしてきた媒体です。一昔前ならマスメディアに“黙殺”されていたような人間がホワイトハウスの住人になることで、今後、アメリカではネオナチ紛いの言説も“普通の右派”くらいの位置付けになり、ノーマライズ(常態化)されてしまうことは避けられないでしょう。同じことは近い将来、日本でも十分に起こり得ます。何故なら、日本社会のベースには排外主義の“種”――“潔癖”という体質が潜んでいるからです。もう少し具体的に言いましょう。放射能・TPP・子宮頸癌ワクチン・大麻等、一度「○○が怖い」「○○は穢れている」という流れになった時、日本では多くの人々が、目の前にある重い課題をゼロベースで考え抜くことを放棄し、“信じたいことを信じる”傾向が強くなる。「皆、同じことを考える筈だ。そうでないヤツはけしからん」…。




この脆弱な言論空間に、スマートで巧妙な情報操作を行う集団が現れたらどうなるか? たとえ“極右政権誕生”という形は取らなくとも、様々な形で“排外的な空気”が社会全体に染み渡っていく可能性は極めて高いでしょう。マスメディアが没落して、あらゆる情報が水平化した現在、情報の信頼性や真贋、そして“奥行き”は、受け手側が判断しなければいけなくなりました。具体的な見分け方はケースバイケースですが、1つだけ言えることがあります。自分や自分の属する集団を無批判に持ち上げる(「今のままが一番」「日本人で良かった」等)ばかりの報道や政治連動は、よく考えてみれば、別の誰かにとっては極めて排他的なものです。そんな言説が力を持つ世の中では、いつしか、その排他性が自分にも向かってくる。これからの時代、そのことは誰もが肝に銘じておく必要があるでしょう。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2016年12月26日号掲載



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ジャンル : 政治・経済

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