【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(92) 血に飢えた大衆の情念を権力の源泉とする“極右枢軸”が世界を覆う?

2017年1月20日に就任する第45代アメリカ大統領は、どこまで権力を振り回すことになるのでしょうか。12月6日、ドナルド・トランプ次期大統領は、アメリカに総額500億ドルの投資と5万人の雇用を創出するプランを手土産に、ニューヨークの『トランプタワー』を訪れた『ソフトバンクグループ』の孫正義社長と会談。集まった記者団に「マサは素晴らしい人物だ」とご満悦で話し、同社関連の株価も一時、急騰しました。また同日、社長がトランプの経済政策を懸念する発言をした『ボーイング』を批判。新たに開発が予定されている大統領専用機『エアフォースワン』の注文をキャンセルするという脅しのツイートを流しました。すり寄れば“褒美”を与え、気に食わない相手は問答無用で切り捨てる。まるでガキ大将です。一方で、トランプ自身が選挙戦でぶち上げた公約を見ると、率直に言って、その多くは実現性に乏しい。就任後は“現実的判断”を強いられ、方針転換するケースが増えるでしょう。

特に、トランプの支持基盤である貧しい労働者層の経済状況を向上させられるとは思えず、彼に期待した人たちは“裏切り”をじわじわ実感していくことになりそうです。トランプは彼らの怒りの矛先を逸らす為に、様々な“花火”を打ち上げるしかない。選挙戦同様、ムスリム・不法移民・中国・イラン等、国内外のスケープゴートに人々の怒りを向け、血に飢えた大衆の情念を権力の源泉とするような手法を取り続けるでしょう。但し当然、それはサステナブルなエコシステムではありません。例えば外交面では、既に中国に対して強硬な発言が目立ちますが、現在のグローバル社会で中国のマーケットを無視し続けることなど、できる筈がない。言うだけ言って、結局はカネの力に屈服する…というシナリオが予想されます。こうした軽はずみな発言と、それをしれっと撤回することを繰り返すと、どうなるでしょうか? そう、トランプ個人というより、国際舞台におけるアメリカの存在感が損なわれていくことになるのです。「外交的には孤立主義傾向が強い」と言われるトランプですが、約100年前のアメリカの孤立主義とは、中身が全く違います。




あの当時は、ヨーロッパのドロドロした政治に巻き込まれない為に、ある意味で“気高くあろうとした結果”の孤立。しかし、トランプのそれは、“見放された結果”としての孤立になるでしょう。では、そんなトランプにすり寄ってくるのは誰でしょうか? 数ヵ月前に本コラムで予言した通り、『イギリス独立党(UKIP)』のナイジェル・ファラージュ党首や、『フランス国民戦線(FN)』のマリーヌ・ル・ペン党首等、ヨーロッパの極右政党のリーダーたちは、トランプの力を利用する気満々です。そんな中、トランプ政権の首席戦略官・上級顧問に内定したスティーブン・バノン氏が会長を務めていた極右メディア『ブライトバートニュース』は、イギリスとイスラエルに続いて、フランスやドイツにも支局を開設。トランプ旋風を生んだ“ビジネスモデル”を輸出し、ヨーロッパの火種に油を注ぐ準備を進めています。2017年は、各地の右派ポピュリストたちが“枢軸”を結成する年になるのかもしれません。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年1月9日号掲載



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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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