【タブー全開!政界斬鉄剣】(64) カジノ法だけ成立させても実現には程遠い意外な裏事情

池田「今週は“カジノ法案”について解説しましょう。一般的な報道では、国会での強行採決や、カジノによる経済効果、或いはギャンブル依存症への懸念について取り沙汰しています。しかし、これらの議論は、完全に本質からズレていると言う他ありません。結論から先に言うと、今回の法案が正式に成立しても、実際にカジノが開設される可能性は低いでしょう」

――どうして?
池田「今回の法案は、国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)という超党派の議員連盟に属する国会議員が中心となって提出した、議員立法の形を取っています。立法は議員本来の責務なので悪くないのですが、彼らは肝心な要素を見落としている。今回のカジノ法案は、政策の理念と基本方針だけを定めた、所謂“基本法”に当たります。しかし、基本法だけでは政策を実施できません。実際には“個別法”と呼ばれる、行政を行う為の個々の法律が数多く必要なのです」

――具体的に個別法とは?
池田「カジノ型リゾートを整備する場合、用地買収・建築・カジノの許認可に関する法律は勿論、地方自治体への納付金・入場料設定・犯罪やセキュリティー対策から、広告・教育・税金に至るまで、ありとあらゆる幅広い個別法が必要になってくる。当然、関係する省庁も国土交通省・経済産業省・総務省・財務省・警察庁等、多岐に亘ります」

――国会だけで決めても、霞が関を抱き込まないと実現の可能性が低いということ?
池田「まさにその通り。カジノ議連の人たちは、日本の政治・行政を実質的に支配している霞が関の役所に対する理解が根本的に足りない。今回のカジノ法案は、主管省庁(※中心となる役所)を決める調整をしないまま、焦って国会の内閣委員会で審議してしまった。このままだと内閣府が中心になってしまうのですが、抑々、内閣府は各省庁からの寄せ集めで構成された組織で、カジノ法案を主管できるような規模も実態も無い役所なのです」




――どうすればよかったの?
池田「関係する法律を管理・執行する主管省庁を、最初に決めるべきでした。役所にとって、法律や税制を主管することは権力の源泉であり、天下り先を確保する為、彼らは全身全霊を捧げて省益を追求します。特に、ギャンブル関連の利権は大きい。現時点で既に、競馬は農林水産省、競艇は国土交通省、競輪とオートレースは経済産業省、宝くじは総務省、スポーツ振興くじは文部科学省が主管している。各ギャンブルは、其々の主管省庁によって、個別法で運用されているのです」

――どの省庁をカジノの主管省庁にすればよかったの?
池田「実は、各省庁が公営ギャンブルで甘い汁を吸い続けていることに、恨めしい気持ちを抱いている役所があります。警察庁です。彼らが主管するパチンコ業界は明らかにギャンブルですが、法律の強引な解釈で“遊技という設定”にしているだけ。警察庁だって本音では、こんなグレーゾーンの業界を守りたくはないんです。しかし、全国に警察官を抱える警察庁は、他の省庁に比べて圧倒的に職員が多いのに、天下り先が絶望的に少ない。だから、不本意にもパチンコ業界を主な天下り先にするしかないのが悲しい現実なのです」

――なるほど!
池田「警察庁にとって、カジノ利権に食い込むことは長年の悲願です。しかし、今回のカジノ法案では、警備や犯罪対策という“門番”程度の役割しか与えられそうにない。それに怒った警察庁は、記者クラブ所属のメディア等を使い、ギャンブル依存症や暴力団等の要素で、国民の不安を煽っているのです。このまま警察庁を除外して、省庁間の利害調整もせずに進めてしまえば、基本法ができても棚上げされ、いつまでも実現しないという末路を辿るでしょう」


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官・政治評論家・『池田和隆国家基本戦略研究会』代表・一般社団法人『社会基盤省エネルギー化推進協会』主席研究員。1967年、熊本県生まれ。法政大学在籍中に松岡利勝氏(農林水産大臣・故人)の私設秘書。公設第2秘書・政策担当秘書・農林水産大臣秘書官を経て現職。


キャプチャ  2017年1月9日号掲載



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