【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(93) “脱属性”・“脱国家”が流行の予感…でも、それじゃ世界は変わらない

アメリカのトランプ旋風、イギリスのブレグジット(EU離脱可決)、そしてヨーロッパ各国の極右政党の台頭…。2016年、国際社会で起きたこれらの政治的事件の共通項は“排他性”、つまり、特定の属性を持つマイノリティーに対する攻撃性です。リアルにせよSNSにせよ、残念ながら、様々な局面で人間の持つ攻撃性が発露される時代になりました。「それならいっそ、全ての属性から脱してしまおう」――。そんな動きが、今年は生まれてくると思います。「何かしらの政治性に身を置いたことで攻撃対象になるくらいなら、タンポポの種のように、風に吹かれて散りゆく“浮遊層”になろう」と。LGBTの世界では、そうした傾向が既にあります。例えば、“パンセクシャル”。便宜的に“全性愛”と日本語訳されることもありますが、要するに男でも女でもない極めてニュートラルな存在を指すジェンダー用語で、これを自称するアーティストが現れ始めている。

過去の差別の歴史から、LGBT界隈ではどうしてもリベラル左翼的な活動が強いのですが、そうした枠組みから離れて、“しめやかにトランス”しようという動きです。これはセクシャリティーの枠組みからの離脱ですが、これからは「“国家”という枠組みから離脱しよう」という人も増えるでしょう。嘗ては、“国家が皆を豊かにする”という約束があった。「1人ひとりが“違う人たち”であっても、国家の為に互いに協力し、皆が豊かになろう」という無形の愛があった。しかし今では、その豊かさへの約束が到底信用できないばかりか、寧ろ“国家”を強調した瞬間、そこにヘイトが現れるという“負の象徴”になりつつある。であれば、いっそ、愛国心を放棄する、つまり「“脱国家”を宣言しよう」という訳です。「ヒト・モノ・カネが国境を超えるグローバリスムから更に進んで、人間のアイデンティティーそのものが近代国家という枠組みから離れていく」という訳です。扨て、この動きは果たして、世界を変えられるでしょうか? 実は、これは約四半世紀前の僕自身のメンタリティーなのです。




僕は1991年に日本へ戻ってラジオ番組を始めたのですが、その直前のアメリカでは、共和党政権と“モラルマジョリティー”が女性の社会進出を法制度上阻もうとする一方、先鋭化したフェミニストたちは何の戦略も持たずに抗議を繰り返すばかりでした。両陣営による紋切り型の言い合いに嫌気が差した僕は、逃避するようにとことん精神世界へとのめり込んだ。日本に戻ってからも、暫くは国政選挙にも知事選にも興味を示さず、頑なに非政治性を貫いて、どこからも攻撃されないような立ち位置を取り続けました。でも、振り返ってみれば結局、自分が関わらなくても世の中は悪い方向に行く。はっきり言えば、厭世は逃避であり、放棄。だから、オバマは“HOPE”を掲げて、皆に関わろうと呼びかけ、ヒラリーもその路線を踏襲しようとしたんです。あらゆる属性から離れたくなる気持ちはよくわかる。でも、僕の経験から言うと、結局は逃げても追いかけてくる。逃避した先に未来は無い。そのことを、年の初めにはっきり言っておきたいと思います。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年1月23日号掲載



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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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