【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(94) ロシアと西側右翼が結託する世界で日本は踏み止まれるか?

世界各国でポピュリズムの嵐が吹き荒れた2016年。民主国家に暮らし、“自分の選択肢”を持っている筈の人々が、次々と反既存権力・反エリート的な気持ち良さに酔い痴れ、世界の安定的な秩序を脅かす動きに加担しました。アメリカ大統領選然り、イギリスのEU離脱投票然り、更に『フランス国民戦線(FN)』を始めとするヨーロッパ各国での極右政党の台頭然り。そんな中、相対的に見て国際社会に対する影響力を明らかに高めているのが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領です。巧みな戦略に基づくプロパガンダ(※アメリカの専門家曰く“兵器級プロパガンダ”)は、弱点だらけの西側先進国の奥底に入り込み、今や各国の右派と共鳴しています。アメリカのドナルド・トランブ、イギリスのナイジェル・ファラージュ、フランスのマリーヌ・ル・ペンといった西側の極右ポピュリストが、ロシアの強権主義とフィードバックし合う――。20世紀には、“ソビエト連邦と結託した右翼”というのはあり得ない構図だったのですが。

多様性とグローバルトレードによる恩恵を無視して、寧ろ「それこそが国を弱める元凶だ」と強引に結論付ける。モスクでもブルカでも不法移民でも、マナーの悪い中国人観光客でも、どうでもいい“断片”を抓んで一部の人が騒ぎ立て、攻撃する。その“断片”をポピュリストが政治利用し、排他性という燃料を基にして世論に火を点ける。こんなことが繰り返されれば当然、社会は暴走し、自壊します。こうした潮流に対し、“怒れる有権者”等という新しいカテゴリーで解釈しようという動きもあります。しかし僕は、「この問題はもっと人間の根源的な本能に根差している」という直観がある。我々が未だ見たくないもの、だけどそこにあるもの。それが“強権的なものへの憧れ”なのか、それとも別の何かなのか、未だはっきりと言葉にはできませんが、「人々は根源的な衝動に突き動かされているのではないか」と思うんです。若しかすると、人間は有史以来ずっとそうだったのかもしれませんが、いつまで我々は“衝動の奴隷”であり続けるのか。今、世界はそんな究極の課題を突き付けられているのではないでしょうか。




衝動・煩悩・喜怒哀楽を鎮められるか。猛獣使いのようにその横に立ち、渦に呑み込まれずに受け流すことができるか。ヨガのメディテーション(瞑想)のような、達観した態度の必要性を感じています。一方、日本はどうでしょうか。例えば、昨年末のプーチン大統領来日に際しても、「プーチンは柔道と秋田犬が好きな親日家だ」とか、「大事な時に遅れがちな遅刻魔だ」といったミーハーな断片を取り上げることが多く、「しっかり全体像を見よう」という報道は実に少なかった。特に、テレビはその傾向が顕著でした。メディアの絶望的な知的怠慢、そしてそこにすっぽりと空いた“隙間”は、プーチン大統領からすればハッキングし甲斐があるでしょう。メディアが相当に成熟している筈のイギリスやアメリカでも、(ロシアのプロパガンダがどれほど影響したかは兎も角)国民は“衝動の奴隷”と化し、ポピュリズムに呑み込まれた。日本の脆弱な言論空間は、その波に耐えられるでしょうか?


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年1月30日号掲載



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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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