【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(95) ドナルド・トランプ政権は既にウラジーミル・プーチンに乗っ取られている?

「アメリカは白人のものだ!」「ヘイルトランプ(トランプ万歳)!」――。昨年11月19日、ドナルド・トランプのアメリカ大統領選勝利を祝う支持者たちの会合の壇上で、こんな演説をした人物がいます。名前はリチャード・スペンサー。トランプ大統領誕生を強力にバックアップしたインターネット発の白人ナショナリズム運動『Alt-Right』の中心人物とされ、白人優位主義や反ユダヤ主義を標傍する『国家政策研究所』の代表を務める男です。「大統領選では、彼の言動が若い白人の投票行動に相当な影響を与えた」とみられています。因みに、“ヘイルトランプ”とは勿論、『ナチスドイツ』時代の“ハイルヒトラー(ヒトラー万歳)”という有名なフレーズを英語で真似たもの。参加した人々が大いに盛り上がり、ナチス式敬礼まで飛び出す様子が動画でも報じられています。トランプが覚醒させつつある21世紀の“アメリカンファシズム”。実は、そこには嘗てアメリカと激しく対立していたロシアの思想的影響が色濃く表れています。そのカギを握るのが、アレクサンドル・ドゥーギンというロシア人です。ドゥーギンは地政学を専門とするモスクワ大学の教授で、「ロシアがユーラシア大陸に広く勢力圏を張って君臨する」という“ネオユーラシア主義”を提唱する思想家。プーチンのブレーンであり、一説にはクレムリンへフリーパスで入れるほどの“最側近”とも言われています。ドゥーギンの活動は、ロシア国内に止まりません。その白人優位主義的主張を拡大すべく、欧米各国の極右勢力(※例えばイギリスのEU離脱を扇動した『イギリス独立党』)のカンファレンスにスカイプで参加する等、世界各地の排外主義者たちを啓発するロシア的思想の拡散役でもあります。

勘のいい人はもう気付いたと思います。そう、プーチンの最側近であるドゥーギンは、前述のリチャード・スペンサー(※言い換えればトランプ大統領を誕生させたAlt-Rightの中心人物)が主催するシンポジウムにも、スカイプでゲスト出演していたのです。スペンサーは、以前からプーチン大統領を称賛する等、“ロシア推し”の姿勢が見えますが、これは果たして偶然でしょうか? 更に言えば、既に離婚しているスペンサーの元妻はロシア人のライターで、ある意味ではスペンサー以上に曰く付きの人物です。何しろ、彼女はドゥーギンの著作をボランティアで英訳する等、ネオユーラシア主義の英語圏での啓蒙に自ら一役買っているのですから…。今月9日、在英ロシア大使館の公式アカウントによるこんなツイートが、一部で物議を醸しました。「イギリスの各新聞は、テリーザ・メイ首相に『米露関係の改善を阻害しろ』と訴えかけているが、最大の友人・同盟国であるアメリカを信頼できないのか?」。大使館の公式アカウントがこんな政治的発言を垂れ流すだけでも十分に挑発的ですが、話題になったのはそこではない。最大の問題は、このツイートに“Pepe”と呼ばれるカエルのイラスト画像が添付されていたことです。その意味するところは、欧米の政治をウォッチしている人間なら直ぐに理解できる筈。何しろPepeは、他でもないアメリカのAlt-Rightの象徴的キャラクターなんです! 正直、あまりの露骨さにもうドン引きです。『イギリス独立党(UKIP)・『フランス国民戦線(FN)』・『オランダ自由党(PVV)』…。ヨーロッパで猛威を振るう極右政党は、皆一様に親露です。単純に思想的な理由だけでなく、どうもロシアから資金提供を受けて活動しているとみて間違いない。そしてアメリカのトランプも、どうやらロシアから様々な形で“選挙協力”を得たという報道が出てきています。ロシアにしてみれば、排外的な思想と潤沢な工作資金を戦略的にエクスポートし、欧米に跨る“枢軸”を作ることで、自らの権益圏・影響圏を広げられる。各国に燻る白人の不満にレバレッジを利かせることで、嘗てソビエト連邦を封じ込めた西側の先進国を乗っ取ろうとしている訳です。しかも、人々のマインドをハッキングするという“民主的な方法”で。




トランプは、新政権の閣僚の最重要ポストである国務長官に、親露派でプーチンともパイプがあると言われる石油最大手『エクソンモービル』前CEOのレックス・ティラーソン氏を指名しました。また大統領選でも、トランプと激しく戦ったヒラリー・クリントンにとって不利になるようなメールがロシアのサイバー攻撃により流出し、それが選挙結果に大きな影響を与えたと言われています。ただその一方で、「ロシアの情報機関がトランプのモスクワでの猥褻行為を把握している」との報道も出ています。新政権発足前に、既にアメリカの大統領がロシアに弱みを握られているとしたら…。真偽はどうあれ、ロシアが仕掛けた(と思われる)情報戦にアメリカ社会が揺さぶられ、混乱する様を見て、こう思わずにはいられません。「ハッキングされたのはメール(情報)だけでなく、アメリカという国家、或いはアメリカ人のマインドそのものだったのではないか?」と。アメリカで反グローバリズムの極右政治家が政権を取り、内向きになって「他国のことは知らん」となれば、ロシアが周辺国への圧力を強めて、ネオユーラシア主義を進める為の環境が整う。その意味で、今のところ、トランプ新政権はロシアにとってかなり“理想的”です。ロシアの国営放送では最近、政治ディスカッション番組を通じ、ウクライナ問題についてかなり過激な議論が放映されているそうです。「もう全面戦争すべきだ」とか、「侵攻して消滅させてから、領土をポーランドと分ければ、トランプも承認するだろう」とか…。勿論、これはプーチンによる観測気球でしょうが、ロシアがかなり強気になりつつあるのは間違いありません。リベラルで多様な社会を目指した西側先進国の危機に乗じ、勢いづくプーチン。当分は“黒幕”として、国際社会を牛耳ることになりそうです。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年2月6日号掲載



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テーマ : 国際政治
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