【私のルールブック】(87) 自分を疑い、準備を怠らないことが仕事の大敵“慣れ”を防ぐ

準備不足の男が理解不能なのである。いや、許せないのである。私の移動手段は、連日の生放送の番組に向かう際はハイヤーにお願いし、それ以外は事務所の車で移動している。運転は9割方、現場マネージャーが務めており、残りの1割は現場マネージャーを休ませる為、見習い君にお願いしているのである。で、見習い君担当の日のこと。生放送を終えて後部席に乗り込むと、腰を下ろした途端に空気の違いを感じた。何というか、見習い君の後頭部辺りから“慣れ”の臭いを嗅ぎ取ってしまったというか、車内が必要以上にリラックスした空気に満ちていたのだ。別に悪いことではない。過剰に緊張した状態でハンドルを握るより、自然体に精神状態で運転をしてくれたほうが、乗る側としても安心というもの。しかし、「リラックスと慣れは微妙に違う」と私は考える。で、直感的に嫌な予感がしてしまったのよね。私の嫌な予感って、結構な確率で当たってしまうのです。

高速道路に乗りました。降り口まではものの10分足らずです。私はパソコンのキーを叩きに叩いて原稿書きに勤しんでおりました。すると、何の気なしにパソコン画面の右下に刻まれた時計に目をやると、15分を過ぎているじゃありませんか。見習い君の後頭部に目線を移します。心なしか硬直しているように映りました。私は見習い君に問い掛けます。「何か言いたいことがあるんじゃないのか? 伝えるべきことがあるんじゃないのか?」。見習い君は、か細い声で言いました。「すみません、通り過ぎてしまいました」。いいんです、誰にだって間違いはあるんですから。自ら過ちを告白しなかったことも、今回は百歩譲って許しましょう。ですが、私が車に乗った際に感じた慣れの空気だけは許しません! 私が我が社の全スタッフに口を酸っぱくして言い続けていることは、「慣れるな!」ですから。ノウハウを覚えることは大切です。というか当たり前です。でも、車の運転と同じで、「慣れた頃が一番危ないんだ」と強く自身に言い聞かせないといけません。




では、慣れないように努めるには、何をどうすればいいのか? 準備をすればいいんです。車を運転するのであれば、「今の時間帯は渋滞していないから…」と勝手に決めつけて胡坐をかくのではなく、どんな状況下であれ、渋滞情報のチェックをルーティーン化する。チェックすれば、必然的に降り口も目にすることになります。ということは、降り口の地名が改めて脳裏に刻まれる訳です。次の現場への入り時間も、既にチェックしてあったとしてもダブルチェックしましょう。目にするだけでいいんです。何度も目にすることによって、私から突然訊かれても迷わず答えることができますから。1にチェック、2にチェック。3・4もチェックで、5もチェック! まぁ、そこまでする必要はないんですけどね。それぐらいの心構え・気構えで仕事に向き合えと。運転を単純な作業と決め付けるなと。過信するなと。自分を信じる、ではなく疑えと…私は言いたいのです! 偉そうなことをほざいておりますが、私ももれなく慣れたがる人間の1人でございます。ですが、みっともなく映りたくはないので、何とか慣れないよう、日々足掻いているのでございます。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2017年2月9日号掲載
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