【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(103) ホワイトハウスが“トランプ化”しても“オバマ社会”は続く

先日、所用があり、アメリカの首都・ワシントンD.C.に1週間ほど滞在しました。僕はD.C.に30年程前に住んでいたのですが、街並みは殆ど当時のままです。しかし、『Uber』で手配したクルマに乗り、外国から移住してきたというドライバーと会話しつつ、外の風景を見ていると、街行く人々が当時とは全く違うことに気付きます。白人・黒人・ヒスパニック系・アジア系…。嘗ては住む地域も生活も分離され、しばしば敵対していた様々な人種は、最早ミックスされ尽くし、何と何のハーフなのか、それともクオーターなのか、見た目では全然わからないような人々が通りを闊歩しています。街のスーパーマーケットでは、レジに非白人のトランスジェンダーの人が立っていました。僕は一瞬、「あっ」と思ってしまったのですが、現地の人々は誰も気にも留めません。有色人種のトランスジェンダーなんて、嘗てはマイノリティー中のマイノリティーとして奇異の目で見られたと思うのですが、最早そうした“多様性”はすっかり当たり前です。

ある夜、地元のクラブにも足を運びました。店内は10代・20代の若者ばかりで、人種の壁など一切なく、チベット系やネパール系の子たちもいました。そこでベトナム系のDJ志望の男の子(20)と意気投合し、後日、同年代の仲間4人で暮らすシェアハウスに遊びに行きました。ふと見ると、リビングの大きなテーブルの上には大麻が置かれ、皆、それを当然のように楽しみながら、ゲームで遊んだり、DJプレイの練習をしたりと、思い思いの時間を過ごしていました(D.C.では既に嗜好大麻の使用は合法化されています)。30年前のアメリカでは、若者たちは大麻にしろハードドラッグにしろ、パトカーのサイレンに聞き耳を立てつつ、気合いを入れて興奮しながら使っていたものです。それが今では皆、実に平和的に、日常の一部として大麻を楽しんでいます(勿論、ハードドラッグは別ですが)。滞在中はできる限り色々な人とコミュニケーションを取り、深く話し込むこともしばしばありました。そこで再確認できたのは、人種の混交が齎した多様化が、人々の考え方や社会の在り方に大きな変革を齎しているということです。




何故、こんなことを書くかというと、多様化の象徴だったバラク・オバマ政権から、社会の分断を煽るドナルド・トランプ政権に変わったことで、「アメリカの多様性は後退する」といった言説が日本では罷り通っているからです。しかし、このように、アメリカ社会の多様化は相当な深度で進行しています。それを心から受け入れられない人々がトランプ政権の誕生を後押しした訳ですが、恐らく、あれは“最後の抵抗”。今後も一部の差別主義者たちは騒ぐでしょうし、様々な摩擦はあると思いますが、保守的な地域の白人たちも、何れ他人種・他文化・LGBTを受け入れ、リラックスして暮らす日が来るでしょう。たとえホワイトハウスの中がオバマからトランプに変わったとしても、社会は“オバマ化”を続けていく。トランプのように一時的に選挙を牛耳ることはできても、社会の流れを止めることはできない――。ホワイトハウスから程近いD.C.の街で、僕はそう確信しました。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年4月3日号掲載




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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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