【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(110) 『ウエストワールド』はフェイクニュースに溺れる愚者への警告?

『Hulu』で配信されているドラマ『ウエストワールド』にドハマリしてしまいました。1973年に公開された同名映画のリメイク版として、アメリカのケーブルテレビ局『HBO』が制作した全10話のテレビドラマシリーズです(※シーズン2の配信予定もあるそうです)。40年以上前、僕が父親と一緒に広島の映画館で見たオリジナル作品は、“量産型の安っぽいSF”だったと記憶していますが、リメイク版は現実世界の深刻な問題を物語に内包しており、実によくできています。ネタバレし過ぎない程度に説明すれば、物語の舞台は、西部開拓時代をAIやロボット工学等の最先端技術で再現した体験型テーマパーク『ウエストワールド』。高額な入場料を支払った富裕層は、パーク内で暮らすアンドロイド(人型ロボット)に対し、欲望の赴くままに殺人やセックスに興じることが許されます。アンドロイドは決して報復しない(ことになっている)からです。

このパークが婉曲的に表現しているのは、人間という生き物があらゆる場面で行う“差別”の醜さです。作品で人間がアンドロイドに対して抱くあまりに露骨な差別意識には、人間の歴史におけるあらゆる差別が投影されているのです。また、人間がアンドロイドを殺す時に選ぶ必要以上に加虐的な手法は、『IS(イスラミックステート)』のショーアップされた殺人行為を彷彿とさせます。延々と描写される残虐なシーンを見ていると、目を背けそうになりながらも、いつの間にか“エンターテインメント”として消化している自分がいる。それに気付いた時、「中東やアフリカ等、世界各地の“惨状”を人類は放置している」という罪悪感を突き付けられ、「今度はお前がやられる番だ」と問われているような思いに駆られます(※「深読みし過ぎだ」と言われそうですが、国際ニュースに通じている人なら恐らくそう感じるでしょう)。作品には、あのアンソニー・ホプキンスがウエストワールドの創設者役で出演しています。当初は何故、あれほどの大物がケーブルテレビドラマの脇役をやっているのか疑問でしたが、物語が進むにつれ、人間の罪深さを知る彼の存在がクローズアップされていきました。




映像技術の凄さを競った時代は終わりを告げ、今、アメリカでは脚本のリアリティーや深さを追い求める部分に才能が集中しているように思えます。その点、この作品の脚本はまさに圧倒的。2時間の映画ではとても描き切れない“現実世界に対する示唆”を、10時間という枠の中で表現しています。カネという“万能ツール”にものを言わせて、欲望のままに振る舞う作品内の富裕層の姿は、ソーシャルメディアで情報強者ぶりながら他者を攻撃し、フェイクニュースを拡散する現代人の姿に重なります。「自分が他人より価値の高い人間であると装いたい。上に立ちたい。傲慢な裁きを下したい。そういった願望を満たしてくれるなら、どんな出鱈目なニュースでもポルノとして消費してしまおう」――。そんな“溺れる愚者”たちへの警告かもしれません。作品では、散々傲慢に振る舞った大金持ちが“復讐”に遭います。現実世界の患者には、一体どんな未来が待っているのでしょうか?


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年5月29日号掲載

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