【私のルールブック】(103) 年々厳しくなっている印象の放送倫理、世の中をそんなに綺麗にしてどうするの?!

放送倫理が声高に問われるご時世になって、どれぐらいの年月が経ったのだろうか? テレビに出させて頂く身としては、「巧いところで折り合いをつけてくれたらな~」と期待していたのだが、折り合うどころか年々厳しくなっている印象である。刑事物のドラマで犯人を車で追い掛ける際、シートベルトをキチンと締めてから車を発進させるという、刑事物には必要不可欠な緊張感を敢えて削ぐようなルールを強制されたことに始まり、八百屋さんや魚屋さんの“~屋”も差別用語だとか。「“~屋”と称する職業は安定した収入が無かった」という歴史的背景があるからだと言う。ここまでくると何も言えませんね。脚本家の方々も大変だと思います。一昔前までは2時間ドラマ等で無意味に入浴のシーンが設けられ、何故か裸の女性がやって来て混浴状態となっておっぱいポロリなんて当たり前のようにありましたし、水泳大会でも騎馬戦ではおっぱいポロリがお決まりでした。

別におっぱいに拘っている訳ではないんですが、今となっては言語から視覚まで制限だらけな訳です。バラエティー番組も然り、「放送禁止用語や実名等はピー音で伏せる」という手法をテレビマンたちが開発したにも拘わらず、そのピー音すら自主規制で殆ど見られなくなりましたから。私はかなりな綺麗好きですが、世の中をそんなに綺麗にしてどうするんだって話です。危険なモノは排除する。危険と指摘されそうなモノは端から封印する。そんなに事なかれ主義を推進したいのか? 「教育上不適切だから」とか抜かしますけど、綺麗なモノばっかり見せたら逆に教育に支障を来すんじゃないの? 悪が存在しない世の中などある筈がなく、“悪があるから善が生まれる”という見方もできる訳で、ドラマでもバラエティーでも悪無しに善を描くことなどできる筈がないのです。その昔、岩下志麻さん主演の『魔の刻』(東映)という映画がありました。当時18歳だった私の元に、岩下さんからの指名でオファーを頂きました。嬉しかったのですが、台本を読んで目が点になりました。何故なら、近親相姦がテーマの作品だったからです。




私の周りのスタッフさんたちは反対しましたが、プロデューサーさんから話を聴くと、岩下さん自らが持ち込んだ企画だそうで、18歳の小童ながら「すげぇな」と、「岩下さん格好いいな」と感銘を受け、二つ返事で快諾させて頂いた次第。テレビドラマも映画もバラエティーも、企画の根幹は何気ない日常の中から生まれているモノです。その日常の中には、綺麗なモノもあれば汚らわしいモノもあります。人間の心の中にも光があれば闇もある。その闇は、時代と共に微妙に変化していきます。夢や希望もそうです。その時代時代の闇を知ることによって、今のお客様はどんな光を求めているのか、希望を抱いているのかが見えてくる訳です。言い換えるならば、敢えて闇を見せることによって光を想起して頂くこともできる。だって、それが我々の本能だから。表と裏の片側ばかりを削り取って表現するのは自然じゃない。…な~んて生意気ながら思ってしまうのです。まぁ、愚痴を言っていても始まりませんから、これからも汚れたおじさんとして、けど夢見るおじさんとして闘っていきますよ。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2017年6月8日号掲載
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

性のタブーのない日本 (集英社新書) [ 橋本治 ]
価格:842円(税込、送料無料) (2017/6/8時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

魔の刻/岩下志麻【2500円以上送料無料】
価格:3024円(税込、送料無料) (2017/6/8時点)




スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR