【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(114) 北朝鮮が主導する極東のゲーム…日本に残された唯一の手とは?

“Tear down this wall(この壁を壊しなさい)!”――今から丁度30年前の6月12日、西ベルリンのブランデンブルク門で、アメリカのロナルド・レーガン大統領は旧ソビエト連邦のミハイル・ゴルバチョフ書記長に向けて、こうメッセージを発しました。この2年後、実際にベルリンの壁は崩れ去り、その2年後にはソ連も崩壊。東西冷戦は民主主義陣営の勝利に終わりました。翻って、今のドナルド・トランプ大統領にそのような強いメッセージを期待することは難しいようです。当初は北朝鮮に対して武力行便を含むあらゆる選択肢を示唆しながら、その強硬姿勢も気付けばトーンダウン。それどころか、政権自体が“ロシアゲート疑惑”で沈み始めています。言い換えれば、現在の極東アジアの“ゲーム”は北朝鮮主導で進められており、金正恩政権は完全なる核保有国となるべく、ラストスパートをかけている訳です。核武装さえできれば、アメリカだろうが中国だろうが、あらゆる圧力に屈する必要が無くなりますから。

かといって、中国も全く頼りになりません。建前上、「非核化せよ」とは言うものの、本音としては北朝鮮の核武装のほうが、アメリカ軍が中朝国境まで進出するよりはマシだからです。ロシアは、この混沌をほくそ笑みながら見つめ、イランは北朝鮮に近付いて核技術を狙っている。そして、韓国では“親北政権”が誕生し、見返りなど全く期待できない対話路線へ舵を切ろうとしている…。各国の事情と思惑が複雑に絡み合う中、北朝鮮の核武装という“臨界点”は日に日に近付いています。それを超えた時、愈々アメリカが軍事オプションを発動するとの見方もありますが、そうなると待っているのは“壊滅的な戦争”です。そんな状況下で、日本にできることは何か? それは、積極的に北朝鮮や中国のレジームチェンジ――つまり民主化を促すことではないかと僕は考えます。とても難しいことですが、やらないよりはマシで、他にやれることはない。北朝鮮と中国が現体制のままでいる限り、対話は本質的に意味を持ちませんから。例えば、北朝鮮人民が蜂起する為のプロパガンダ作戦を仕掛ける。外交官の脱北の手助けをする。アメリカと結託して脱北グループに資金を提供する…。相手の内部崩壊に繋がるようなアクションをひたすら起こすのです。




こういう時、低レベルな反中・嫌韓・嫌北を謳う右派は邪魔でしかありません。かといって、戦後左翼のように現状の中国や北朝鮮を追認してもダメです。本当のリベラリズムとは、詭弁を重ねて憲法9条を死守することではなく、他国を無批判に認めることでもなく、あらゆる国の人権問題や民主化に積極的に関与していくことの筈です。ただ、こうして日本が(※軍事オプションとは別の形で)攻めに転じたら、恐らくどこかのタイミングで、北朝鮮は拉致被害者・行方不明者の捜索打ち切りといった“人質カード”を切るでしょう。思い切って突っ込んだことを言いますが、その際に日本が弱腰にならず、「そんな国家とは交渉しない」「その話とは別問題だ」と突っぱねられるかどうか? その覚悟を持てないなら、日本はこのまま北朝鮮が核保有国となることを座して待つしかありません。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年6月26日号掲載




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テーマ : 北朝鮮問題
ジャンル : 政治・経済

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