【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(119) 日本は“人身売買国”? 欧米からの指摘に表舞台で反論できるか

アメリカ国務省が先月末に発表した『世界の人身売買をめぐる2017年版報告書』では、各国の人身売買被害者保護の取り組みが4段階で格付けされています。日本はG7諸国の中で唯一、最上位評価を受けられず(※13年連続で上から2番目のランク)、「強制労働や売春に関わる人身売買の送り先であり、供給元であり、経由地でもある」と批判されています。また今回は、初めて報告書にAV出演強要問題が取り上げられ、所謂“JKビジネス”についても、イヴァンカ・トランプ大統領補佐官が「売春の温床」と指摘。今後、日本の性文化や性産業に対する目は益々厳しくなっていくでしょう。この評価に対し、日本では「論点がズレている」「妙な活動家や団体に唆されている」「日本は性犯罪が少ない。言いがかりだ」…といった声も目立ちます。其々一理あるといえばありますが、気になるのは、報告書の指摘に対し、“表舞台で堂々と反論できるようなロジック”があまり見当たらないことです。

確かに、日本の性表現や性産業に関する海外からの指摘は、歪められたデータや、特定の政治思想によって誘導されることがしばしばあります。例えば2015年、国連特別報告者が「日本の女子生徒の30%が援助交際の経験者」と発言した際は、その数字があまりに出鱈目だと話題になりました(※その後、“13%”に訂正されたものの、やはり根拠は無く、発言は事実上撤回)。ただ、そうした個々の矛盾や事実誤認をいいことに、「問題は無い」「欧米の価値観を持ち込むな」と強弁を振るい続けることが、今後もできるでしょうか? グローバル化が加速する現在、国際社会では国境を跨いだ未成年の誘拐と人身売買、レイプと強制売春が大問題になっており、欧米の先進国はそれに否応なく向き合っています。日本も明らかにこうした問題の当事国の1つであるにも拘わらず、何故“我関せず”で独自の性文化を楽しんでいるのか――。これが欧米からの指摘の本質です。秋葉原に行けば女児のラブドールが当たり前のように売られ、女子高生の制服を着た女の子たちが男性客と腕を組んで歩いている。多くの人が目を覆いたくなるようなアニメのポスターも堂々と貼られている。




テレビをつければ、ティーンのグループアイドルが確信犯的にパンチラ寸前の振り付けで歌い踊る。AV出演強要問題にしても、「殆どの場合は本人の自由意志だ」と、多くの人が然程問題意識を持つことなく、“見て見ぬふり”を通す…。この“見て見ぬふり”という日本人やメディアの態度が、欧米人にとって最も理解し難いのです。彼らの目には、「日本では公の場で堂々と未成年の性が搾取されている」としか映らない。そうでないなら、きちんと論を立てて反論してみろ――と。僕個人は、日本のエロ文化はできる限り防衛すべきだし、基本的にセクシャリティーは奔放でいいと思っています。但し当然、その為にこそ犯罪を許してはならず、“文化”の為に誰かが不本意な思いをしてもいけない。少女アイドルもJKビジ ネスも、性搾取ではないというなら、堂々と論を立てて主張すべきです。有耶無耶にやり過ごそうとし続ければ、いつか“黒船”が来て、全てお取り壊しになってしまうでしょう。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)等に出演中。


キャプチャ  2017年7月31日号掲載

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