【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(135) パラダイス文書が示唆する『Facebook』とロシア資金の不自然な繋がり

『国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)』が入手・発表したタックスヘイブン関連の大量の内部資料『パラダイス文書』。欧米で特に注目されているのは、ロシア政府系の巨額資金が、ロシア人大物投資家が創設したファンドを通して『Facebook』や『ツイッター』等アメリカのSNS企業に流れていたことです。昨年のアメリカ大統領選では、SNS上にフェイクニュースやアメリカ社会の分断を煽るような投稿が溢れましたが、今回明らかになった“過去の資金提供”という事実は、これがロシアの“情報工作”であったとの疑念をより深めています。問題のファンドの創設者で、ウラジーミル・プーチン政権とも繋がりが強いと言われる世界的投資家のユーリ・ミルナー氏が、当時は未だシリコンバレーの新興企業だったFacebookに対して、約2億ドルの出資を決めたのは2009年5月。Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグCEOとミルナー氏は公私共々仲が良いとされていますが、西側諸国の投資家が驚くような大胆な投資をしたミルナー氏に、ザッカーバーグCEOが信頼を置くようになったのは自然なことでしょう。

更に、このファンド経由でFacebookに出資したロシア政府系企業の中に、『ガスプロム』の名前があることも興味深い。半国営の同社は、世界最大の天然ガス企業で、その圧倒的な生産・供給量と資金力を背景に、内政ではプーチン政権の言論統制の手助けをし、外交ではロシアがプレッシャーをかけたい国家に対して、しばしばガスの値段を吊り上げる、併給を突然止める等のハラスメントを行い、“資源ナショナリズム”のパワーの源となってきました。例えば、バラク・オバマ政権時に決められたロシアへの国際的な経済制裁に対し、最後まで難色を示したのはドイツのアンゲラ・メルケル首相でした。ドイツは、2011年の『東京電力』福島第1原発事故の余波で“段階的な脱原発”を決め、ロシアのガス資源に対する依存度を高めていたのですが、このこととメルケル首相の態度が無関係だったとみるのはナイーブ過ぎるでしょう。ロシアのガスに依存するとは、つまりは“そういうこと”なのです。




ガスプロムを含むロシアの資金が入っていたSNS企業側が、情報工作に加担していたことを示す証拠は、今のところありません。ただ、最近の欧米主要国のあらゆる選挙(※アメリカ大統領選のみならず、イギリスのEU離脱を問う国民投票、フランス大統領選、ドイツ国政選挙等)で社会の分断を煽る政治広告やフェイクニュースが投稿されていたという事実と、それを取り巻く背景を俯瞰すると、「只のビジネスだ」という当人たちの言葉を素直に信じていいものかどうか…。近年はシェールガス革命により資源価格が下落し、ロシアは嘗ての“武器”を失いかけていた。その苦況下で、各国の選挙に“情報工作”をいつも以上に激しく仕掛け、分断を煽り、地政学的アドバンテージを維持しようとした。SNS企業側は積極関与はせずとも、それを黙認した――。この辺りが、僕の現段階での見立てです。ただ勿論、あくまでも現場点では“グレー”ですし、それ以前にパラダイス文書の信憑性も“グレー”。グレーのマトリョーシカの中に何があるのか…というところでしょうか。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)等に出演中。


キャプチャ  2017年12月4日号掲載



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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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