【タブー全開!政界斬鉄剣】(107) 野党の質問時間を減らすと国民の為になる意外な理由

池田「国会の各委員会における政党の質問時間の配分を変更しようという与党の動きに対し、野党、特に立憲民主党と日本共産党が大反発をしています。与党が、従来の“与党2:野党8”という比率を“与野党5:5”にしてはと言い出したことが発端でした。与党側の言い分は、『与党が総選挙で全議席の3分の2という圧倒的多数を得たのだから、質問時間の比率にも民意を反映させたほうがいい』というものです」

――でも、与党議員同士で質問をしても馴れ合いになるだけだし、野党の質問は数の論理で暴走しがちな与党を抑える効果もあるんじゃないの?
池田「理屈はそうですが、実際には与党の質問時間を増やしたほうが国民の利益になるのです。その理由を順に説明しましょう。先ず、野党の質問スタイルに大きな問題があります。各委員会で審議される法案は、ほぼ全て省庁の官僚が作っています。大臣に質問をしたって、官僚が作った答弁書を読み上げるだけ。だから本当は、官僚に直接質問したほうが効率的なのです」

――言われてみれば…。
池田「野党議員も、法案や予算案を官僚が作っていることくらい知っています。与党が過半数を占める委員会で質問したって何も変わらないことも理解している。その上で野党議員は、自分をアピールする最大の晴れ舞台として委員会質疑を利用しているのです。法案作成者の役人に質問しても目立てませんから、大臣を答弁者に指名して、大臣を相手に激しく論戦をやっているように見せたい」

――だとしても、それに答えるのは大臣の仕事だよね?
池田「そうですが、大臣が委員会対応に縛り付けられることは国民全体の利益にはなりません。その裏で、役人たちが高笑いをしているのです」




――役人が? どういうこと!?
池田「大臣の最も重要な責務の1つは、役所内に不正や無駄が無いか、国民の利益に反する行政が行われていないかを監視することです。その重責を果たせないと、役人たちのやりたい放題になってしまう」

――具体例を挙げると?
池田「例えば、財務省が勝手に国有地を激安で森友学園に売却した問題もそうです。加計学園に新設を認めるまで、文部科学省と農林水産省が約50年間も獣医学部の新設を認めないと勝手に決めていた問題もそう。PKO派遣先の南スーダンが内戦状態に陥ったことを、自衛隊の派遣を終了させるまで防衛省が大臣に事実上隠蔽していた問題もそう。役人たちは大臣の目を盗みながら、法律を好き勝手に解釈・適用・運用してしまう“裁量権”と呼ばれる権力を拡大させ続けている。その流れで規制や許認可権等も生み出し、権力を無限に肥大化させるのです」

――そういうことか!
池田「この裁量権こそ、多くの企業や団体が高額な報酬を支払ってでも役人OBの天下りを受け入れたがる、リアルな国家権力の源泉なのです。本来、国家権力とは公務員試験に合格しただけの存在である役人ではなく、国民が選挙で選んだ政治家にしか行使が許されない筈です。しかし、大臣は数年毎に入れ替わるのに対し、役人は終身雇用なので継続性がある。役人たちは、その有利さを最大限に生かしながら、国民やマスコミ、そして大臣にも気付かせないようにして、巧妙に、好き勝手に国家権力を振り回し続けているのです」

――ヤバい実態だなぁ…。
池田「この“事実上の独裁者”と言える役人の悪行の数々は、私が直接目撃した事例だけでも本を数冊書けるほどあります。役人が作った法律案成立の為、役人が作った答弁書を片手に大臣が委員会に縛り付けられている様子は、役人にとって笑いが止まらない光景でしょう。だから、与野党の質問時間の配分が重要なのではなく、委員会質疑における“大臣縛り”の慣例を解消することが大切なのです」


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官・政治評論家・『池田和隆国家基本戦略研究会』代表・一般社団法人『社会基盤省エネルギー化推進協会』主席研究員。1967年、熊本県生まれ。法政大学在籍中に松岡利勝氏(農林水産大臣・故人)の私設秘書。公設第2秘書・政策担当秘書・農林水産大臣秘書官を経て現職。


キャプチャ  2017年12月4日号掲載



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テーマ : 議会
ジャンル : 政治・経済

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