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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(137) 拝啓、ザッカーバーグ様…Facebookは独裁者の味方ですか?

カリフォルニア州シリコンバレー地区のメンローパークという場所に、『Facebook』の本社があります。そこに集まるアッパーミドル層の白人たちによる、性善説を前提とした“友だち紹介システム”から始まったこのサービスは、スマホの普及と共に各国でビジネス規模を拡大し、今年7~9月の四半期は売上高・最終利益とも過去最高を更新。今や世界的なインフラとなりました。しかしその一方で、近年はまるで粗い縫い目から汚水が漏れ出るかのように、色々な問題が表出しています。昨年のアメリカ大統領選挙におけるロシア介入疑惑もその一例ですが、もっと踏み込んで言えば、実はFacebookは多くの独裁者や権力者たちにとって都合のいいツールとなっているのです。例えばタイ。Facebook上に、タイ王室に関する『BBC』のドキュメンタリー番組の一部を引用した25歳の民主化活動家が、“不敬罪”で昨年2月に逮捕されました。彼は多額の保釈金を支払い、一度は保釈されたようですが、再びFacebookに警察を揶揄するコメントを書き込むと、直ぐに再逮捕。5年の実刑判決を食らってしまいました。軍政下の同国において、実名制のFacebookは謂わば“民間製の国民ID”。本人の投稿に加え、デモ参加者や活動家同士の横の繋がりといった情報も含めて監視することで、国家権力は反体制派容易に“釣り上げる”ことができてしまうのです。ミャンマーの状況はもっと深刻です。2011年の時点で、インターネットにアクセスできるミャンマー人は、人口の僅か1%程度とみられていましたが、ここ数年、格安スマホや格安SIMの普及で爆発的にインターネット人口が拡大。多くの人々はスマホを購入すると、直ぐにFacebookのアカウントを取得し、無邪気に楽しんでいるようです。

しかしFacebookは、少数民族のロヒンギャに対する差別を助長する場にもなっています。フィードには悪意に溢れた偽情報や、様々な隠語を用いて民族憎悪を駆り立てる投稿が溢れ、それらが虐殺やレイプといった蛮行を引き起こすこともある。ミャンマーの有名なムスリム差別主義者も、「ロヒンギャ差別の拡散はFacebookが無ければ成し得なかった」と語っています。では何故、こんな差別が放置されたのか? 実は、Facebookはミャンマーに支社を持っておらず、タイにある支局(※それも本社直系の支社ではなく“代理支局”)がタイ、ミャンマー、カンボジアの3ヵ国を管理しています。こうした脆弱な管理体制に加え、ミャンマー語特有の差別スラングをタイの支局もアメリカ本社も把握できなかったようです。こういう問題に関しては、「包丁が悪いのではなく、包丁で人を刺す人が悪い」というタイプの反論が必ずあります。「悪いのはFacebookではない。差別主義者や独裁者が悪いのだ」と。しかし、今や全世界規模のインフラであり、また巨大なニュース配信媒体でもあるFacebookに、そのロジックをそのまま適用していいのか? 「Facebookはロヒンギャ差別の温床になっている」と世界中の活動家から批判されていますが、今のところ、誰も責任を取ろうとはしていません。Facebookはカンボジアでも“やらかして”います。同社は今秋から、カンボジアを含むマーケットの小さな6ヵ国でニュースフィードを2分割するテストを実施。普通の友だちの書き込みと、メディアや企業からの投稿が分けて表示されることになりました。するとその結果、カンボジアの反政府系メディアの記事が市民にリーチし難くなってしまったのです。




一見するとフェイクニュース対策と思えるかもしれませんが、よりによって、これを現在のカンボジアで運用してしまうことは実に乱暴です。Facebookのニュースフィードは、ここ数年、カンボジアの民主化に向けた動き、更に市民ジャーナリズムの流通プラットフォームとして機能してきたからです。カンボジアでは昨今、フン・セン独裁政権が言論弾圧を強化しており、反体制系新聞の廃刊や、民主化を求めるラジオ支局の閉鎖が相次いでいます。先月には政権と対立する最大野党『カンボジア救国党』も解党に追い込まれました。そんな最悪のタイミングで、Facebookは“意味ある報道”を市民から切り離してしまったのです。アメリカ本社にとっては“ビジネス上の小さなテスト”なのでしょうが…。同社のマーク・ザッカーバーグCEOは近年、13億人の大市場の開放を求めて、熱心に“中国詣で”を繰り返しています。しかし、あれほど(良くも悪くも)自由な言論空間を中国政府がそのまま許すことはあり得ない。仮に解禁されたとしても、AIや顔認証を使った世界トップクラスの人民監視態勢を敷く中国政府は、Facebookに適度な制限をかけた上で、有効な監視システムとして利用することになるでしょう。それでもザッカーバーグCEOは中国にすり寄るのでしょうか? 只でさえ、最近はロシアだけでなく、中国もFacebookへの“プロパガンダ広告攻勢”を強めているというのに…。嘗てザッカーバーグCEOは、“Move fast and break things(素早く行動し、破壊せよ)”というモットーを掲げました。しかし、メンローパークの無邪気な価値観を全世界に無節操に広めることが、言論の自由が無く、様々な紛争を抱えた地域の人々の為に本当になっているのか? もう一度考え直す時が来ているのではないかと思います。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。『スッキリ』(日本テレビ系)・『みんなのニュース 報道ランナー』(関西テレビ)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『ザ・ニュースマスターズTOKYO』(文化放送)・『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)等に出演中。近著に『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)・『悪くあれ! 窒息ニッポン、自由に生きる思考法』(スモール出版)。


キャプチャ  2017年12月18日号掲載

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